隧道に散った友よ
6月
9日
隧道に散った友よ
あれから25年
命日が近いな
お前が逝った隧道は
おれのウォーキングコースになっている
外して別ルートで行くこともできる
陰気臭い隧道ルートより
別ルートの海沿いの方が
気分も軽やかと思い
今日はそちらを選んだ
楽しそうに歩くウォーキング団体
ベンチに座り 海を観ながら
愛をささやき合う恋人たち
砂浜では
ガンガン音楽を流し
騒ぎまくるファミリー団体
何と盛り上っている休日なんだ
たまらない気分になった
みんな楽しんでいる
それなのに
お前は弱冠18歳で
あんな陰気な隧道の中で
対向車線をはみ出してきた
クソ車に跳ねられ逝ってしまった
今日はルート変更したが
事故現場に行かなければ
ならないと思った
反対経路から
お前が逝った現場に
向かうことにした
何事もなかったように
行き交う車たち
あの当時
お前より遥かに危険な
ライディングをしていた
反対車線にはみ出し
正面に迫ったクルマと
衝突しそうになったこともあった
それでも死ななかった
反対車線にはみ出ない
お前が死んでしまった
神は存在するか
仏は存在するか
正義は存在するか
道義は存在するか
考えても仕方ないことを
考えながら
楽しい たのしい世間の
日曜日を横目に
独り歩き続ける