Vol.41 瞳

朝、知り合いの家の前を通ると他の知り合いが家から出てきて、
この家の方が具合が悪いと言う。
私も20年来のお付き合いなので家に入り声を掛けた。
本人は何も答えず、苦しそうな表情をしている。
 
これは救急車かなと思っていると、知り合いが車を出すので
近くの掛り付け医に連れて行くと言う。
そこの先生も良く知っているので、診察後的確な病院へ移送かなと思っていた。
 
所がお昼前に帰ってきて、家で寝ていたらしいとの情報…少し不安。
4時頃「心臓マッサージできますか」と、
病院へ連れて行った人に声を掛けられる。
 
救急車を呼んだが、心臓マッサージの指示があったそうだ。
直ぐに行ってみた。
 
玄関に入り廊下を抜け部屋に入った私の目に飛び込んできたのは、
ベッドにもたれかかる様に倒れこみ、右腕をあげた状態の知人の姿。
既に事切れているのが、瞬きをしないその目からも窺えた。
声を掛け、肩を叩いても反応が無く、脈を取ろうとした手首は冷たかった。
 
動かそうとしたが硬直が始まっており、何もせず救急隊を待つことに。
救急隊も死亡していると言う事で警察に連絡していた。
私は警官に場所を知らせるため小一時間小雨の中、傘も差さずに立っていた。
 
ああ、こんなに周り人がいてあの人は、誰にも看取られずに行ったのか。
軽く開いたあの瞳に最後に見えたものが、
貴方が大好きな花だったら良いなぁ。
 
 
 
 
NON

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