観音崎公園の中にある 約20年ぶりに訪れた ダブルデートだった 中秋の名月だった 目眩を感じたことを覚えている 観音崎は友人がバイクで亡くなった 場所でもある 1988年 観音崎トンネルを走水方面に走っていて 出口の右コーナーに差し掛かかろうとしたとき 反対車線のクルマがオーバースピードで スピンし車線をオーバーし激突した ずいぶんと長い年月が経った 事故現場で缶コーヒーのプルトップを開け 両手を合わせる さわやかな新緑の香りと 近づいては走りすぎてゆくクルマの音が トンネル内に響くのを呆然と感じる 何事もなかったように・・・ また歩きはじめる
人と人とがやっとすれ違えるような 細い路 こんな路があったのか 吸い込まれるように入っていった 彼女が僕を呼んでいたのか ずっとそこにいるの 海へは帰らないの 疲れ果てた彼女を 花々は一所懸命咲き 慰める
ここで降りた彼女 先日、仕事を終え終電車に乗っていたら 途中の駅で降ろされた その先の駅周辺で架線トラブルがあったとのこと 降ろされた乗客からは大ブーイング 少々の混乱の後、駅構内にアナウンスが流れる 「振り替え輸送としてタクシーをご利用ください」 太っ腹だといえば太っ腹だが、深夜だけに当然 足早に改札を出ると、目の前までタクシー待ちの行列 途方にくれながら、深夜の町を歩いた 歩いて帰られる距離じゃないことは承知している 数十分、一駅歩いて駅前に辿り着くと・・・ タクシー乗り場の行列 一体どうすればよいのか・・・ 次の駅までは結構な道のりだ しかし、歩くしかない 歩き始めると、目の前に客を乗せたタクシーが マンションのある路地に入ろうとした 『ここで客を降ろすのか』 それなら、すぐに乗せてもらおうと駆け寄った タクシーは客を降ろしたのではなく、乗せたばかりで Uターンをしようとしていたのだ タクシーから声を掛けてくれたのは運転手ではなく 乗客の若い女性だった 『同じ方面だったらどうぞ』 必死の相乗り 不幸中の幸い お礼を言うと 『困ったときはお互い様ですよ』 何十年ぶりに聞いた言葉だろうか しかも年下から言われた言葉だ どちらが先に降りるかの話になり 私はもちろん先に乗った方が先だと伝える 『東叶神社で降ろしてください』 この周辺は知っていた 昔、知人がいたし、バイクでよく通る裏道だった しかし、夜中に通ることばかりで こんな神社があることなんて知らなかった 由緒ある神社 夏から秋にかけて、毎月のように祭事がある 公休があえば訪れてみたい 彼女の記憶が薄れる前に