3月
30日,
2022年
自社の「ビジョン」と「パーパス」を再考する(Day2)「私なりの言葉の『定義付け』」
今日は先日からの続き
「自社の『ビジョン』と『パーパス』を再考する」
の二回目。
経営理念や社是など、日本で伝統的に使っていた表現に加えて、ビジョンやパーパスなど英語表記のものが増えてきました。これも経済・社会のグローバル化の影響でしょうか?
日本は外国、特に米国に倣うことが多いような気がして、これもその一つかも知れません。
しかし色々な表現やボキャブラリー(失礼、これも外来語!)が乱立していて、
「一体、それはどういう意味・定義???」
と感じることも多いです。
私もこれらの表現の定義を自分なりに、色々調査しましたが、実は明確で統一的な定義はきちんとは存在しないようです。つまり企業・会社ごとにそれぞれ使い方が異なることに気付きました。
そこで今日は先ず、私が使用するそれらの言葉の「定義付け」をしておきたいと思います。実際採り上げる言葉は以下の通りです。
1.ビジョン(Vision)
2.パーパス(Purose)
3.バリュー(Value)
4.ミッション(Mission)
1.ビジョン(Vision)
(1)ビジョンとは、事業展開を通じて私が「実現したい世界・社会観」。弊社が事業活動を展開することによって、「こんな世界を創りたい」「こんな社会になって欲しい」という願望・野望を言語化したもの。
(2)願望・野望なので、そんなに簡単に実現できなさそうなもので良い。上記の「山のイラスト」にあるように、登山で目指す「頂上」に到達することで見える景色のようなものである。
2.パーパス(Purose)
(1)パーパスとは、私・自分たち・弊社の「存在意義」。ビジョンを達成するために存在する、我々の「あり様」や「果たす役割」を言語化したもの。
(2)可能であれば、「誰に」「何を」「どのように」、そして「提供価値」も含めたい。
3.バリュー(Value)
(1)バリューとは我々が事業展開をする上で大切にしたい「価値観」。ビジョンを実現するため、事業活動を展開する上で重要視する考え方・指針。日々の活動する上での拠り所であったり、意思決定の軸となる者とも言える。
(2)従って、心掛け(マインドセット)、及び、行動様式などの表現が含まれる。
4.ミッション(Mission)
(1)ミッションとは、我々が現時点からビジョンを実現するための道程において、達成する必要がある途中地点の目標。
(2)従ってミッションは一つに限らず、順繰りに複数存在しうる。(ミッション1が最初に掲げられ、そしてその次にはミッション2が用意される、など。)頂上に繋がる登山道上での通過目標の地点と言える。
(3)目標とするミッションは、頂上であるビジョンに、着実に近づいているかどうかが判断できるように、定性的、及び、定量的な情報を含める。
こんな感じです。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
3月
29日,
2022年
自社の「ビジョン」と「パーパス」を再考する(Day1)
独立・起業して今年は4年目。ゼロから始めたビジネスだが、何となくここまで来た。起業した時にそれなりの目算はありつつも、
「やってみなければ分からない」
という気持ちが強かった。
一方、「事業ビジョン」や大切にする「価値観」などは、それなりに作ってきた。
しかし自分のお客様に
「御社の経営理念やビジョンは、どういうものですか?」
と尋ねるにもかかわらず、自社のそれらがきちんと整理されていないのは恥ずかしい。
そんな思いで「仮置き」していた自社のビジョンだが、そろそろ次のバージョンを作成する必要があるように感じている。
そう感じ始めたきっかけや理由は、以下のような感じ。
1.今年は起業4年目なので、この先3~5年の方向性を検討、見定めたい。
2.昨年までの3年間、出来そうなこと、やって楽しいこと、可能性が広がりそうなこと
を、とにかく手あたり次第試してきた。そろそろ「選択と集中」の時機か?
3.逆に自分の年齢を考えて、人生の最終ゴールから逆算する必要を感じ始めた。
ざっくり言うと、もう少しスケールの大きな「ビジョン」が欲しくなった、というのが正直な気持ち。
そして、自分個人の好き嫌いや好みから、ビジネスをやることの「社会的な意義」や周りの人への「貢献」、という視点が必要に感じ始めたからだとも言える。
こう考えると自社の「ビジョン」や「パーパス」を考えるということは、取りも直さず
「自分の人生の目的を問うこと」
のように感じられて、とっても「ワクワク」、楽しみになって来た!
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
3月
1日,
2022年
「ビジョン・ミッション」があれば良いのか?(Day2)「『絵に描いた餅』にしないために必要こと!」
昨日は
「ビジョン・ミッションは、経営者だけのものでは無い」
というタイトルでお伝えしました。
つまり「ビジョン・ミッション」は経営者のためだけではない。
部署を預かる部課長さん、家族を切り盛りするお父さん・お母さん。そして我々一人一人、個人にも「ビジョン・ミッション」が必要ではないか、という問い掛けでした。
しかし一方、早いもので今日は3月1日。今年一年間の6分の一が経過したことになります。
皆さんの今年の年初の抱負や計画は、現時点でどの程度進んでいらっしゃるでしょうか?
そうなんです!
「経営理念・ビジョンの重要性」に反論の余地が無いものの、実行されなければ意味がない。まさに「絵に描いた餅」にしてはいけない。当たり前ですよね?
そこで今日は、どのようにしたらミッションや計画を実行できるのか?
「実行力」
について綴って行こうと思います。
正直申し上げて、私も皆さんと同じ(これは失礼!)、年初の抱負や計画を早々に断念した経験は数知れず。
そんな私がサラリーマン時代に、年初計画や構想を実行に移すために試した内容をお伝えします。
お伝えする際に、失敗談に加えて「今だったらどう対応・工夫するか?」も併せてお伝えします。
【章立て】
1.私が現役時代に試みたこと(本日)
2.上手く行ったこと(明日以降)
3.上手く行かなかったこと、そして今だったらどう対応・工夫するか?(明日以降)
1.私が現役時代に試みたこと
(1)自部署の「スローガン」創り
(2)部員個々人の「ありたい姿」の言語化
(3)トレーニング計画の策定
(1)自部署の「スローガン」創り
①海の向こうの上司からの指摘
私が経理本部長に昇格後、上司から開口一番に言われたのは「経理スタッフの仕事ぶりは、従来型の経理処理の仕事に追われていて専門知識が低い。
お客様に低付加価値のサービスしか提供していない。それでなくても日本は人件費が高いため、現況のまま維持することは許されない。なんとかしろ!」という感じのものでした。
その上司は中国人で、アジア太平洋地域全体の経理部門を統括する本部長。指摘が的を得ているだけに、正直言って反論が出来なかったです。私もうすうす感じていたので、ずばっと言われてしまった!という感じです。
②部下への動機付け
そこで私が考えたのが、私の部下たちにどのように動機づけするか?です。そのために先ずは我々の部署の「スローガン」を掲げようと思い立ち、一人で悩んだ末に
「Be Professional!」
というスローガンにしました。
(2)部員個々人の「ありたい姿」の言語化
①部下との対話
スローガンを作れさえすれば、それに従って部下たちが動き出す!なんて、世の中そんなに甘くありません。
「何か、始まったみたい?!」
部下たちからの少し、冷めた視線を感じながら私が行ったことは、部下一人一人との「対話」です。
そもそも「Be Professional!」というスローガンを掲げる意図は何か?について
説明しなければ分かってもらえない。
おまけに、ここが重要ですが、部下全員の前で私が話しても、必ずや「一方通行」の伝達になってしまう。
部下たちの経験・スキルのレベルに差があることは明らかだったし、正社員・派遣社員の違い、そしてそもそも職業人として意識・関心事が異なっていたからです。
②部下一人一人が描く「プロフェッショナル像」の言語化
「Be Professional!」というスローガンですが、実は「プロフェッショナル」とは何か、という定義付けを部全体としては敢えてしてはいません。
「え、そんなんじゃ、部全体の目標としてのスローガンにならないのではないか?」という疑問が湧くと思います。
しかし私の意図は、部署全体がプロフェッショナルになることはもちろん、究極のゴールではあります。
しかし、まずは部下一人一人が「プロフェッショナルになる」という意識を持ってもらうことが重要と考えました。
従って、自分の考える「プロフェッショナル像」を自ら描いてもらい、それに自ら到達するという動機付けが必須、と考えたのです。
(3)トレーニング計画策定
部下の一人一人に自らのプロフェッショナル像を描いてもらった上で、次はどうすれば自分はそうなれるのか?の道筋を考えることが必要です。
そこで先ずは、個人個人で好きなトレーニングプログラムを考えてもらうことから始めました。そのたたき台に私が追加したり、他の方法を勧めたりしながら「個人ベース・トレーニング計画」を策定するように部下を指導しました。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
2月
28日,
2022年
「理念・ビジョン・ミッション・バリュー」は、経営者だけのものでは無い!(Day1)
経営学の書籍や経営者向けのビジネス書に、必ず登場する
「経営理念・ビジョンの重要性」
最近はビジョン・ミッションという言葉に加えて、「パーパス」という表現まで登場してきました。
そして、これらの語彙の違いや使い分けまで、解説する専門書まであるように聞いています。
私も興味があって実は、何冊か読んでみました。しかし私の個人的な感想は、その言葉の定義や使い分けには、あまり神経質になる必要は無いように感じています。
むしろ重要なのは
『自らが進んで行く方向性やゴールを、具体的にイメージして「言語化」すること』
因みに、私が読了した有名な一冊、
「ビジョナリーカンパニーZERO」には、
下記の3つ言葉が採り上げられています。
1.コアバリュー
2.パーパス
3.ミッション
上記の言葉の定義や使い方に関しては、この著書を読んで頂くことにして、これらを検討・設定する上で、重要な点は以下のポイントだと私は理解しています。
(1)大切にする「価値観」を確認すること。行動する上での原則と言っても良い。
(2)社会に存在する意義や究極の「ありたい姿」を明確にすること。
(3)具体的なイメージを持つ、期限付きの目標も設定すること。情熱をもって取り組みたいものにしたい。
上記(1)から(3)の内容・エッセンスを敢えて一つに纏めてみると、
『(2)理想の姿や目的に向かって(1)大事にする価値観を常に持って前進していく。その過程で(3)目標を一つ一つ達成しながら(2)「ありたい姿」に近づいていく』
こう考えてみると、「理念・ビジョン」は決して、経営者だけのものでは無い!と気付きます。
自分が率いる部署や、我々の家族、そして一人一人の人間にも、「情熱を持って取り組みたい」何か持ちながら、日々進んで行きたいと考えるのではないでしょうか?
そして、自分の歩む道を、このように捉えてみると、目の前の事象がどのように違って見えるでしょうか?
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
1月
20日,
2022年
中小企業にこそ導入して欲しい「パーパス経営」
今日は、新聞やビジネス雑誌で最近、頻繁に目にするようになった
「パーパス経営」
と、中小企業について少し触れたいと思います。
なお、飽くまで私の個人的な見解なので、ご承知おきをお願い致します。
今日の章立て
1.「パーパス経営」とは
2.昨今の企業に足りていないこと
3.中小企業こそ、パーパス、「存在意義」の再確認を!
1.「パーパス経営」とは
(1)パーパス(purpose)とは、ロングマン現代英英辞典によると「what it is intended to achieve」、達成しようと意図していること、
つまり「目的」ということだと理解できます。もう少し経営学的に表現すれば「存在意義」でしょうか?
(2)それでは「パーパス経営」とは何か?一橋ビジネススクール客員教授 名和高司氏は「志本経営」とおっしゃっています。
志(こころざし)に根差した経営という定義です。経営者の「内発的動機」に基づく経営と言い換えても良いかと思います。
(3)個人的に私は「存在意義」に近いニュアンスで捉えています。つまり「我が社が、何を以って社会や市場に存在することが認められているか?」です。
提供する価値があるから、お客様から受け入れられ、その対価が頂戴できる。このように体感しています。
2.今の企業に足りていないこと
(1)パーパス経営を上記のように理解したとき、我々の身の回りの企業・会社・組織を見た時、皆さんはどう感じますか?
利益追求だけを目的にしている、ノルマ主義の企業や、品質問題を社内隠蔽している組織は論外ですが、もう一歩引いて考えて、自社の「パーパス」に立ち返っていない会社が多いような気がします。
(2)「え、パーパス?またカタカナですか?もういいです!うちはそれどころじゃない、目先のことに追われてしまって、それどころでは無いんです!」
私が経営理念やビジョンについて少し水を向けると、こういう返答をする中小企業の社長さんが少なからずいます。
毎日の資金繰りに汲々しているところに、「理念」とか言われても!
お気持ちはよく分かります。
(3)一方、そういう姿勢や志向の経営者を、周りの社員はどう見ているでしょうか?
今どきの社員、特に若手の従業員は、この点に関しては非常にシビア、鑑識眼が高いと感じています。そして、そういう社員は心の中で
「自分は、どうしてこの会社で働いているのだろうか?」
「この職場に居続けることで、自分は何が得られるのだろうか?」
潜在能力が高く、やる気を持つ社員だからこそ、こういう想いに行き着いてしまうように思います。
3.中小企業こそ、パーパス、「存在意義」の再確認を!
(1)もちろん「パーパス経営」は、従業員のためだけにあるものではありません。むしろ経営者自身のために必要な考え方です。
(2)そして、自社の「存在意義」「ありたい姿」を明確にして、社会・市場に伝えることが、顧客を引き付けて行くように感じます。
そして同時に、そういう経営者の下で働く社員も、その自社の「存在意義」に共感し、自らの能力を発揮していく。
(3)「企業」「顧客」「従業員」、この三者に良好な関係性が構築されると、本来とは異なる意味ではありますが、「三方よし」が実現されるのだと思います。
そのためにも経営者、特に中小企業の社長さんには、カタカナ言葉を毛嫌いせず「パーパス経営」をぜひ標ぼうし、実践して欲しいです。
(4)一方私の方も、お客様と対話する際には、ぼんやりと曖昧にしか伝わらない英語表現ではなく、日本語で明確に、内容をきちんと伝えていくことが必要だ、と改めて感じました。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
12月
18日,
2021年
木村勝男著「放牧経営」を読み進めながら(Day14)「人を育てるためには、挑戦できる環境を創る」
今日も引き続き、木村勝男氏の著書
「放牧経営」
を読み進めて行きながら、キーポイントと思う部分を抜粋して、綴って参ります。
この本のテーマを一言で表現すると
「いかに経営社員を育てるか?」
経営社員?
はい!
- 木村氏が考える「経営社員」とは?
- そのような社員を育てる仕組みとは?
これらを読み解きながら進めて行きます。
第3章「『経営社員』の育つ会社」
章立て
1.なぜ経営社員を育てられないのか?(完了)
2.経営者の通信簿(完了)
3.B/S経営とは?(完了)
4.経営理念 x B/S経営(完了)
5.経営理念の浸透(完了)
6.小さい会社こそ「経営社員」は育つ(本日)
「小さい会社こそ『経営社員』は育つ」
章立て
1.経営社員が育ちやすいのは中小企業
2.人を育てることなど出来ない!
1.経営社員が育ちやすいのは中小企業
(1)「経営社員」は経営者の視点で、会社の全体最適を意識して行動する。このことは大企業でどれだけ出来るものなのか?
(2)大企業では理念・ビジョンの共有は可能だろう。しかし現場レベルの情報を全員が知ることは難しい。
そこで大企業では、ピラミッド型組織の仕組みを導入し、ミドル役マネジャーを置くなど役割分担を明確にしている。
(3)一方、中小企業では組織が小さいためミドルマネジャーは不要、互いに直接情報の共有が可能である。
従って中小企業では、経営者以外は全てフラットな「鍋ぶた型」組織になっていることが多い。
(4)鍋ぶた型組織では、硬直化するトップが情報を把握し、経営に携わるということになりがち。
(5)しかし、社内での情報共有が進み、経営者視点で物事を判断できる「経営社員」が育てば、その組織はやがて外部環境への反応の素早い「ネットワーク型」組織に進化する。
会社の中が、理念や方向性を共有しながら複数の経営者が戦略的に結合した状態になる。
(6)小さな会社の最大の強みは、経営社員が育ちやすい、ということ。
2.人を育てることなど出来ない!
(1)敢えて矛盾している表現だが、人を育てることは出来ない。
(2)では、成長過程にある社員に最も必要なものは何か?それは彼らが新しいことに挑戦するステージだと考えている。
(3)人は育てるのではなく「自らの意思で育っていくもの」。人財育成とは、人が育とうとしている芽を潰さず守ってやること。
(4)具体的にどうすればよいか?第一段階は、基礎スキルを教え込む。第二段階は、与えられた仕事の中で実践的に学ぶ。
(5)ここまでは教育の段階。一般社員はここまで良い。しかし「経営社員」が育つためには、第三段階として、挑戦できる環境を創ることが必要である。
(6)現場の改善提案をしてきた社員がいれば、まずはやらせてみる。新しいビジネスの仕組みを考案した社員がいたら、会社がリスクを負える範囲内で自由にやらせてみる。もし失敗しても、責任を問うのではなく、原因を追究する。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
12月
16日,
2021年
木村勝男著「放牧経営」を読み進めながら(Day12)「ビジョンと理念的インセンティブ」
少し間隔が空きましたが引き続き、木村勝男氏の著書
「放牧経営」
を読み進めて行きながら、私がキーポイントと思う部分を抜粋して、綴って参ります。
この本のテーマを一言で表現すると
「いかに経営社員を育てるか?」
経営社員?
はい!
- 木村氏が考える「経営社員」とは?
- そのような社員を育てる仕組みとは?
これらを読み解きながら進めて行きます。
第3章「『経営社員』の育つ会社」
章立て
1.なぜ経営社員を育てられないのか?(完了)
2.経営者の通信簿(完了)
3.B/S経営とは?(完了)
4.経営理念 x B/S経営(本日)
5.経営理念の浸透
6.小さい会社こそ「経営社員」は育つ
「経営理念 x B/S経営」
章立て
1.「理念」x「B/Sビジョン」 = 志事(しごと)
2.理念的インセンティブ
1.「理念」x「B/Sビジョン」 = 志事(しごと)
(1)どんな会社なら「経営社員」が育つのか?ここで「要」となるのが経営理念。
(2)経営理念に対する解釈は、その企業の存在価値であり、社会に対して果たすべき義務であると考えている。
(3)理念という義務を社会に対して果たすと、どのような会社になるか。それがビジョンである。理念とビジョンは常に一直線上にあるはず。
(4)ビジョンに向かって経営者と全社員がベクトルを合わせて働いた結果がB/Sに表れる。
逆に会社のビジョンを描くということは、言葉だけなく「こんなB/Sにするぞ!」と将来像を明確にすること。
(5)一方、P/Lは会社の単年度の収支を示すものであり、短期的な目標やノルマになる傾向がある。
もしビジョンが明確でない状況で、経営理念という義務が覆いかぶさったら、「義務 x ノルマ = 地獄」となってしまい、社員が能動的に仕事に取り組むという環境ではなくなる。
(6)仕事は決してらくなものではない。しかし、夢・ビジョンが明確となった仕事は楽しいもの。仕事は、理念 x 夢(B/Sビジョン) = 志を抱いて出来る仕事(志事)、であるべき。
2.理念的インセンティブ
(1)経営社員となるための重要な条件は、能動的に仕事に取り組むこと。
(2)能動的に仕事に取り組むためには、適切な「インセンティブ」が必要。一般的に人のモチベーション(動機)には、①金銭的、②社会的、③自己実現、の3つがある。
(3)上記3つを組み合わせてインセンティブを検討すると5つに分類できる。
①金銭的報酬
②評価
③組織と個人の価値観の共有
④成長の場の提供
⑤職場の仲間との人間関係やリーダーの魅力などの人的要素
(4)上記の②③④を合わせて「理念的インセンティブ」と呼んでいる。
この理念的インセンティブを与えることで、仕事に対する誇りや顧客からの感謝、社会への貢献、自己成長といったものが社員のモチベーションを高め「経営社員」へと成長させる。
(5)個人的な感覚ではあるが、金銭的な条件が整った状態では、理念的インセンティブが7割、金銭的インセンティブ3割がベストのように感じる。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
12月
5日,
2021年
「リーダーシップ」というものを思う時(5)「マイチームのスローガンを決める」
不定期ですが、
『「リーダーシップ」というものを思う時』
というタイトルで綴っています。
今日のテーマは
「マイチームのスローガンを決める」
先日もこのブログでお伝えしましたが、私はこれまで、それ程「リーダーシップ」ということを意識をせずに仕事をしてきました。
しかし、改めて30年余りの会社勤務時代を振り返ると、自分のチームを纏めるために色々なことをやって来た、と感じます。
その一つが、この自分の部署の
「スローガン」を決める
ということです。
もっとも印象に残っているのが、私が最後の職場となった米国系企業で、財務経理部門を率いていた頃のことです。
当時、遅ればせながら日本法人だけではなく、世界中のシステムを統合型システム(ERP)に入れ替えることになりました。
これはもちろん、経理業務の効率化・省力化を推進することになり、会社全体としてはもちろん望ましいことです。
しかし、一人一人の経理パーソンにとっては、大きな「環境変化」です。端的に表現すると
「自分の仕事が無くなるかも?!」
そこで私はその時、こんなスローガンを掲げました。
「Be professional!(経理のプロになろう!)」
そう伝えた時、私の部署の課員が私に返してくれた「ぽかん」とした表情を思い出しました。
そうですよね、いきなり「プロになれ!」と言われても.....
もちろん一朝一夕に「プロ」に成れるわけでない。そもそも「プロフェッショナル」とは何か?の定義付けだって必要。そして、どういう専門知識が必要で、望ましい行動様式は何か?などなど。
しかし、何か共有できる大きな方向性を定めて、皆でそれに向かって走り出す。少しくらい粗削りでも、ざっくりしていても良い。
「チームを動かすような、何かをぶち上げること」
リーダーには、こんな心意気も必要な気がします。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
12月
1日,
2021年
「リーダーシップ」というものを思う時(1)
今日は日頃、思うところを少しずつ呟いて行こうとペン、ではなくてブログを開けてみました。テーマは、
『「リーダーシップ」というものを思う時』
私はふとした時に、
「リーダーシップ」って何だ?
と思うことがあります。
経営者とコーチング・セッションをしている時。属している団体やグループで、企画がなかなか前進しない時。
家族旅行を計画している時、家族もメンバー間で日程や行先がなかなか決まらない時。経営コンサルティングを提供しているお客様へ提案を検討している時、などなど。
リーダーシップに関しては書籍はセミナーなど、様々なところで議論され、解釈され、実践されています。
学術(アカデミック)的な観点はもちろん、たたき上げの経営者による「実践編」のようなものもあります。
私の30年以上の長きに渡る会社勤務、プロコーチとして様々なクライアントとの出会い。自分の起業家として経験。そして一方、個人的には三人兄弟に長男として、また3人と子供の父として、様々な場面において
「リーダーシップ」って何だろう?
と思うのです。
そんなモヤモヤや、はっとするような出来事を少しずつ呟いて行こうというのが、今回のシリーズです。
特段、結論めいたことは書かないし、書けないと思いますが、皆様自身が「リーダーシップ」を考えるきっかけになれば嬉しいです。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお
11月
28日,
2021年
読書会でドラッカーを読み進めながら(Day3)「組織の使命と果たすべき責任」
興味深いスタイルの「読書会」で、P・F・ドラッカー著
「プロフェッショナルの条件」
を読み進めています。
その読書会のスタイルは
「一冊の本を参加者が、順番に輪読しながら読み進めるスタイル」
そう、まるで小学校の国語の授業のようにです。
従って、ゆっくり・じっくり聞いて、深く読む感じで、読書が進む。
この読書会に参加するたびに、ドラッカーがいかに「凄い人」なのかが、心に沁みてきました。
今日から不定期ではありますが、読み進めながら重要な部分を綴って参ります。書かれている内容が相当「深い」ので、行間を理解したい方は是非、書籍を全文で読んで頂きたいです。
この本の凄さは、出版されたのが2000年、従ってドラッカーは、それ以前の1990年代にはこの草稿を練っていたはず。まるで30年後、2020年代の現在が見えていたかのような記述が随所に出てきます。
Part1
第2章「新しい社会の主役は誰か」
【迅速な意思決定必要なもの】
(1)組織は、変化に対応するために高度に分権化する必要がある。なぜならば、意思決定を迅速に行わなければならないからである。
(2)あらゆる組織が、いかにコミュニティに根を下ろし、コミュニティから愛されていようと、人口構造や技術や知識の変化によって成果を上げるための条件が変われば、自らを閉鎖できなければならない。
(3)組織には破壊的な側面がある。コミュニティに根付かなければならないが、コミュニティの一部になり切ることは出来ない。組織自体はコミュニティに埋没することを許されない。組織はコミュニティを超越する。
(4)組織の価値観さえ、組織の機能によって決まる。
(5)組織が最高の仕事をするためには、そこに働く者が、自らの組織が行っていることが社会にとって不可欠の貢献であることを信念としていなければならない。
【組織が果たすべき責任】
(1)組織社会では、組織の社会的責任が問題となる。
(2)組織が業績を上げられないことは、社会的に無責任である。資本のコストに見合うだけの利益を上げられない企業は、社会的に無責任である。社会の資源を浪費しているだけである。
(3)組織は成果を上げなければならない。
(4)組織は、従業員、環境、顧客、その他何者に対してであれ、自らが与える影響について間違いなく責任がある。これが組織の社会的責任の原則である。
【明確な使命が成果を生む】
(1)組織は社会やコミュニティや家族と異なり、目的に従って設計され、規定される。
(2)組織は一つの目的に集中して、初めて大きな成果をあげる。目的の多様化、分散は、企業、労組、学校、病院、教会のいずれを問わず、成果をあげるための能力を破壊する。
(3)明確な使命がなければ、ただちに組織は組織としての価値と信頼を失う。
(4)社会やコミュニティは多元的な存在である。それは一人一人の人間にとっての環境である。これに対し、組織は道具である。
(5)他の道具と同じように組織もまた、専門化することによって目的遂行の能力を高める。しかも組織は限定された知識をもつ専門家によって構成される。従って、組織の使命は明確であることが不可欠である。そして組織の使命は一つでなければならない。
ではまた明日!
「働くあなたを元気にする」プロコーチ、砂村よしお