いきなりさ カレーの鍋が転がり にんじん じゃがいも 肉 玉ねぎの哀しさ ルーをかき集める 虚しさ 苛立ち 放棄心 俺はもう一度 カレーを作る力はあるか 生きていく力はあるか 手についた カレーの熱さに笑う
僕は雲が緑だという詩を書いた でもその詩を読んだ君は 「白い雲について書いてあるね」 そういうんだ 旅立ってしまった言葉たちは いつの間にか姿を変えて 面白いことになっているんだ もう僕の思い通りにならない だって君の心を自由に浮くんだから
友人だと思っていた彼に 大事なものを貸した 返って来ることはなかった 貸し渋りをしなかった純粋で 自分を慰めることができるか すでにその心はなくなっていた 疑う心を持つと大人になり 自己防衛の壁が高く厚く積まれ また孤独に帰ってゆく
通り過ぎてゆく 小豆色の貨物列車は続く 切れることのないガタンゴトン 足の裏から伝わって 断続的な休符にある 倒れては起き上がりまた倒され 疲れた身体の血流だけを感じ 仕分けもせずに捨てた時間たち 私は私を恨みまた私を許す 理想はあってない時間を揺らす それでも 足から伝わる俺の生きている 貨物列車の終わる侘しさのち 目の前に生活という電車が来る 何処へと 問う行き先に慣れた扉を潜る
バカ野郎っ と、僕は投げ飛ばされた石 今は空き缶 ビニール袋やペットボトルたちに 囲まれて暮らしている 彼らは死んだように言葉を発しない 君らも バカ野郎って言われて投げ飛ばされたのかい? …………… この孤独はここに積み重なっていく
ケースから取り出せば ぷわっとハワイアンコアの匂い 波の眩しいイメージに音を合わせ 南国の砂浜で指が遊ぶ ポロロンポロロン ポロポロポロリンポロロン ナイロン弦の優しさは 疲れた心に可愛く明るく響く 悩みイライラや憂鬱たちも 想像の光にすっと吸い込まれて ポロロンポロロン ポロポロポロリンポロロン 縦に横に波打つ模様の 小さなボディはまったりとさせる 抱っこしているつもりが 音色のゆったりに抱っこされて ポロロンポロロン ポロポロポロリンポロロン