今年の読書(51)『機密漏洩』濱嘉之(文春文庫)
4月
16日
長崎・平戸に中国人5人の射殺死体が乗った難破船が漂流するところから物語は始まります。
船内の遺留指紋から、ひとりの人物が浮き上がり、事件情報を入手した<青山>は、持ち前の情報網を駆使して事件の調査を始めるうちに、琵琶湖でも死体が発見されます。
一見つながりのない殺人事件にみえたのですが、第3作目の 『報復連鎖』 に登場した青森県大間の原発工事と絡み、香港マフイアと東北マフイアの抗争に、歌舞伎町の裏社会、中国との政治問題を絡ませながら最後まで目が離せない展開が繰り広げられます。
中国の空気汚染と水の汚染問題を底辺に、日本側の特許技術の機密が絡み、警察小説ながら著者の中国に対する政治的姿勢も垣間見られて面白く読み切りました。