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地域医療の見え方  2016.Jul.6;2(73)

スレッド
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1. CLINICAL EVIDENCE SUMMARIES
-薬剤と骨折リスクの考え方-

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[introduction]
薬剤による骨折リスクを考える際には、薬物有害反応Adverse Drug Reactionによる薬剤の直接的な作用がもたらす骨折リスクと、薬物有害事象Adverse Drug Eventによる薬剤の間接的な作用がもたらす骨折リスクに分けて考える必要がある。

薬物有害反応による骨折リスクとしては例えば、薬剤性骨粗鬆症を引き起こす代用的な薬剤であるステロイド(J Bone Miner Res. 2004 Jun;19(6):893-9. PMID: 15125788)、骨芽細胞の機能低下が示唆されているピオグリタゾン(CMAJ. 2009 Jan 6;180(1):32-9. PMID: 19073651)Caの吸収阻害が示唆されているプロトンポンプ阻害薬(JAMA. 2006 Dec 27;296(24):2947-53. PMID: 17190895)などがあげられる。

薬物有害事象による骨折リスクは、姿勢制御に影響を与える薬剤がこれに該当する。ベンゾジアゼピン系薬剤は薬物有害事象による骨折を引き起こす可能性のある代表的な薬剤であろう。ベンゾジアゼピン系薬剤は転倒リスクを増加させ(Arch Intern Med. 2009 Nov 23;169(21):1952-60. PMID: 19933955)大腿骨頸部骨折リスクを増加させる(Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2010 Dec;19(12):1248-55.)

[骨折の予後]
骨折を起こすとその予後はあまりよろしくない。特に高齢者ともなると死亡リスクの増加が示唆される。カナダにおける50歳以上の7753人を対象としたコホート研究によれば、腿骨頸部骨折から1年目で死亡リスクが3.17倍[95%信頼区間1.35~7.42]増加することが示されている。(CMAJ. 2009 Sep 1;181(5):265-71 PMID:19654194)

また、また三重県の骨粗鬆症患者419人(平均73歳)を対象とし、10年間追跡したコホート研究では、椎体骨折でも生命予後悪化が示されており、さらに骨折箇所増加に伴い生存率が低下することも示されている。(J Orthop Surg (Hong Kong). 2010 Aug;18(2):148-52. PMID: 20808003)

[fall-risk-increasing drugs: FRIDs]
薬剤と骨折リスクについて、薬物有害反応によるものと、薬物有害事象によるものについて述べたが、本稿では後者に注目し、特に近年になり概念化された「転倒リスクを増加させる薬剤群fall-risk-increasing drugs: FRIDs」についてまとめる。

Fall risk-increasing drugs (FRIDs)はSwedish National Board of Health and Welfare (NBHW)によりリストアップされており、催眠鎮静薬、抗うつ薬、抗精神病薬(リチウムを除く)、ベンゾジアゼピン、脂質異常症を除く心血管用薬、抗コリン薬、抗てんかん薬、抗パーキンソン病薬、オピオイドが含まれている。

■FRIDsは骨折リスクを増加させる。
75歳以上の38407人を対象にFRIDsの使用と骨折リスクの関連を検討したスウェーデンのコホート研究では、年齢、性別、疾患状態で補正後、大腿骨頸部骨折はオピオイド使用 (OR 1.56, 95% CI 1.34-1.82), ドパミン作動薬使用(OR 1.78, 95% CI 1.24-2.55), 抗不安薬使用 (OR 1.31, 95% CI 1.11-1.54), 抗うつ薬使用(OR 1.66, 95% CI 1.42-1.95) 催眠鎮静薬使用(OR 1.31, 95% CI 1.13-1.52)と報告されている。(BMC Geriatr. 2014 Dec 4;14:131. PMID: 25475854)

■めまい患者の多くでFRIDsを使用している。
めまいを主訴に耳鼻咽喉科を受診した292例(平均53.3歳)の後ろ向きカルテレビューでは40.8%でFRIDs(34%で2剤以上)を使用していた。なお最も多かった一次診断は片頭痛(43.2%)であり、次にメニエール病(19.2%)であった。(Otol Neurotol. 2015 Jun;36(5):862-4. PMID: 25828649)

オランダのプライマリケアにおける電子医療記録より、65歳以上の2812 人(平均77.0歳)のめまい患者を調査。平均で3.1剤のFRIDs 、そして87.2%もの患者に少なくとも1剤以上のFRIDsが処方されていた。(Scand J Prim Health Care. 2016 Jun;34(2):165-71 PMID: 27049170)

これらの観察研究から、FRIDsが潜在的にめまいを誘発する薬剤である可能性が示唆される。

■大腿骨頸部骨折後のFRIDs使用で死亡リスクが増加する。
スウェーデンにおける3つの公的データベースより、60歳以上で大腿骨頸部骨折を有する患者2043人を対象としたコホート研究によれば、FRIDsを4剤以上使用(518人:25.4%)すると、30日以内の死亡はオッズ比で2.01[95%信頼区間1.44~2.79]、90日以内の死亡はオッズ比で1.56[1.19~2.04]、180日以内の死亡はオッズ比で1.54[1.20~1.97]、365日以内の死亡はオッズ比1.43[1.13~1.80]であった。(Clin Interv Aging. 2016 Apr 29;11:489-96. PMID: 27199553)

[ポリファーマシーとFRIDs]
ポリファーマシー状態は大腿骨頸部骨折リスクを増加させることが報告されている(Medicine (Baltimore). 2010 Sep;89(5):295-9.PMID: 20827106)骨折リスク増加に関して、特にどのような薬剤に注意すべきかを知ることは重要である。

50歳以上の6,666人を解析した縦断研究では、特に抗うつ薬を含むポリファーマシーで転倒リスクが増加(相対危険1.28, 95% CI 1.06-1.54)し、ポリファーマシー状態にない抗うつ薬の使用ではリスクとの関連は見られなかった。またベンゾジアゼピンを含むポリファーマシーでは転倒外傷が増加(相対危険1.40 95%CI1.04–1.87)したが、ポリファーマシー状態にないベンゾジアゼピン使用では明確な差はなかった。(Age Ageing. 2015 Jan;44(1):90-6PMID: 25313240)

この研究では総じて、転倒リスクに明確な差が出ていない。ポリファーマシー状態、抗うつ薬、利尿剤、抗精神病薬、ベンゾジアゼピン、抗うつ薬、いずれも単独解析では明確な転倒リスク上昇は示されていなかった。現段階では不明な部分も多いが、抗うつ薬やベンゾジアゼピンを含むポリファーマシー状態には転倒リスクにより注意が必要かもしれない。

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2. CLINICAL EVIDENCE SYNOPSES
-注目論文の紹介です-

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[文献]アレンドロネートの長期使用の影響(症例対照研究PMID: 27353596)

Abrahamsen B.et.al. Risk of hip, subtrochanteric, and femoral shaft fractures among mid and long term users of alendronate: nationwide cohort and nested case-control study. BMJ. 2016 Jun 28;353:i3365. PMID: 27353596
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27353596

[重要]骨粗鬆症患者において、アレンドロネートの長期(10年以上)の使用と骨への安全性、有効性を知ることは重要である。

[デザイン]オープンレジストリを用いた、コホート内症例対照研究

[セッティング]デンマークにおける全国調査

[参加者]治療開始時において、過去にアレンドロネートを服用していない50歳~94歳の男女61990人

[介入]アレンドロネートの服用

[主要評価項目]大腿骨転子下/大腿骨幹部骨折もしくは大腿骨頸部骨折。年齢、出生年、アレンドロネート服用開始時期でマッチングした、非骨折者を対照と設定。条件付きロジスティック回帰分析と用いて、オッズ比を算出。

[結果]1428例の大腿骨転子下/大腿骨幹部骨折症例(発生率:3.4/1000人年[95%信頼区間3.2~3.6]、6784例の大腿骨頸部骨折症例(発生率:16.2/1000人年[95%信頼区間15.8~16.6]

大腿骨転子下/大腿骨幹部骨折はMPRが80%を超えるコンプライアンス良好例でMPR50未満の不要例に比べて有意に低下。(オッズ比0.88[95%信頼区間0.77~0.99]ただし、多変量解析するとこの関連が不明確となった。(オッズ比0.88[95%信頼区間0.77~1.01]
また使用なしと比べて10年以上の使用でオッズ比0.70[95%信頼区間0.44~1.11]であった。

大腿骨頸部骨折も同様にMPRが80%を超えるコンプライアンス良好例でMPR50未満の不要例に比べて有意に低下。(オッズ比0.73[95%信頼区間0.68~0.78]5~10年、10円以上の使用で有意にリスク低下。(オッズ比[95%信頼区間]はそれぞれ0.74[0.67~0.83]、0.74[0.56~0.97]
[結論]これらの結果は、アレンドロネートの10年以上の継続使用においても、骨折アウトカムにおけるリスクとベネフィットのバランスは十分許容できることを支持する。

[コメント]
これまでのビス剤の観察研究では、3年~5年の継続使用でベネフィットは少なくなり、5年を超えるとむしろ骨折リスクが増加する可能性が示唆されていた。

本研究は症例対照研究である。抄録からでは研究対象者の概要が分かりづらいが、two nested case control studies、つまり2つの解析を行っている。

①大腿骨転子下/大腿骨幹部骨折
[症例]1428例(平均79.6歳)
[対照]6825例(平均79.8歳)
②大腿骨頸部骨折群
[症例]6784例(平均80.2歳)
[対照]19952例(平均80.1歳)

服薬アドヒアランスはMPR(Medication Possession Ration)という指標で評価されている。処方された薬剤のうちどれくらい服薬されたかを示す指標で80%以下を不良とすることが多いようだ。

アドヒアランスが良いほど骨折リスクは低下し、大腿骨頸部骨折については10年の長期使用でもリスク低下が示されている。アドヒアランスはともかく、長期使用に関してはこれまでの結果と矛盾しており、今後の研究結果に注目したい。

[文献]信仰心は生きる力を肯定するか。(コホート研究 執筆時PubMed未収載)

Tyler J. VanderWeele,et.al. Association Between Religious Service Attendance and Lower Suicide Rates Among US Women.
JAMA Psychiatry. June 29, 2016. doi:10.1001/jamapsychiatry.2016.1243
http://archpsyc.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2529152

[重要]宗教活動への参加と自殺のリスクの関連を検討した研究はこれまでにも報告されている。しかし、その多くは横断研究や生態学的研究、症例対照研究によるものであり、方法論的限界がある。

[デザイン、参加者]1996年から2010年において宗教活動への参画と自殺の関連を、大規模コホート研究であるNurses’ Health Study,に参加していた89708例の女性を対象に行った。なお1992年から1996年の間における宗教活動への参画は、自己申告で行われた。データ解析は1996年から2010年にかけて行われた。

[主要評価項目]Cox比例ハザードモデルを用いて、宗教活動への参加と自殺のリスクの関連を見積もった。人口統計学的共変量、ライフスタイル因子、病歴、抑うつ症状、などで交絡補正した。また未知の交絡変数を探索するために感度分析を行った。

[結果]Nurses’ Health Studyより、30歳~55歳の89708例が対象となった。週に1回以上の主教活動への参加は、全く参加の無い人に比べて5倍以上の自殺リスク低下が示された。(ハザード比0.16[95%信頼区間0.06~0.46]

またほとんど参加しない人に比べて、週に1回以上参加する人は、カトリックでハザード比0.05[95%信頼区間0.0006~0.48]、プロテスタントでハザード比0.34[95%信頼区間0.10~1.10]であった。

[結論]米国の女性コホートにおいては、宗教活動への頻回の参加が自殺リスクの有意な低下に関連している。

[コメント]ハザード比を見ると驚異的。交絡の影響もあるかもしれないが、信仰心という者が自殺念慮を大きく減退させる可能性を、つまり、生きるという事を肯定してくれる力を与えてくれるのかもしれない。

[文献]75歳以上の高齢者における降圧療法(RCTサブ解析 PMID: 27195814)

Williamson JD.et.al. Intensive vs Standard Blood Pressure Control and Cardiovascular Disease Outcomes in Adults Aged ≥75 Years: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2016 Jun 28;315(24):2673-82. PMID: 27195814
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27195814

[重要]高血圧を有する高齢者における適切な収縮期血圧は不明である。

[目的]糖尿病を有さない75歳以上の高血圧患者を対象に収縮期血圧が120mmHg未満を目指す厳格治療と140mmHg未満を目指す標準治療の効果を比較する。

[デザイン、参加者]
多施設ランダム化比較試験であるSPRINTに参加した75歳以上の高齢者を解析対象とした。

[介入]参加者は収縮期血圧で120mmHg未満を目指す厳格治療群(1317人)もしくは140mmHg未満を目指す標準治療群(1319人にランダム化された

[主要評価項目]
一次心血管アウトカムは非致死的心筋梗塞、心筋梗塞の生じていない急性冠症候群、非致死的脳卒中、非致死的急性非代償性心不全及び心血管死亡の複合アウトカムとした。なお総死亡は二次アウトカムに設定した。

[結果]2636人(平均79.9歳、女性37.9%)のうち95.1%mにあたる2510例のデータを追跡完了した。追跡は中央値で3.14年であった。一次アウトカムは標準治療群に比べて、厳格治療群でわずかに減少した。厳格治療群102件、標準治療群148件、ハザード比0.66[95%信頼区間0.51~0.85]

また総死亡も減少した。厳格治療群73件、標準治療群107件、ハザード比0.67[95%信頼区間0.49~0.91]

重篤な有害イベントは両群で様認めなかった。厳格治療群48.4%、標準治療群48.3%、ハザード比0.99[95%信頼区間0.89~0.11]低血圧は厳格治療群で2.4%、標準治療群で1.71%と厳格治療群で多い傾向にあった。ハザード比1.71[95%信頼区間0.97~3.09]同様に湿疹も厳格治療群3.0%、標準治療群2.4%と多い傾向を認めた。ハザード比1.23[95%信頼区間0.76~2.00]また電解質異常、急性肝障害、転倒による外傷も厳格治療群で多い傾向にあった。

[結論]75歳以上の外来の高齢者において、収縮期血圧を140mmHg未満を目指す治療と比較し、120mmHg未満を目指す治療では、非致死的な主要心血管イベント、総死亡が少ない可能性が示された。

[コメント]一見するとHYVETに続く超高齢者の降圧療法に関するランダム化比較試験に思えてしまうが、
This trial was specifically funded to enhance recruitment of a prespecified subgroup of adults aged 75 years or olderと記載があり
The Systolic Blood Pressure Intervention Trial (SPRINT)のあらかじめ予定されたサブグループ解析であることに注意したい。
大事なのは仮説生成的であること。効果もそうだが、有害イベントに有意差がないことを過信してはならない。

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3. EDITORIAL NOTE
-編集後記-

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当ブログの更新頻度をとりあえず2週に1回としたいと思います。現状ブログ記事を編集している時間が限られており、毎週更新が厳しい状況です。

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