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  • 地域医療の見え方  2016.Jun.22;2(72)

地域医療の見え方  2016.Jun.22;2(72)

スレッド
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1. CLINICAL EVIDENCE SUMMARIES
-モサプリドの効果-

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[introduction]

個人的に消化器系用薬ではモサプリドをお勧めすることが多い。脳卒中後の胃瘻造設患者で肺炎リスクを抑制したというランダム化比較試験が報告されていることが、その根拠ではある。
〔J Am Geriatr Soc. 2007 Jan;55(1):142-4..PMID:17233710〕

それ以外にも、PPIやH2RAは有害事象(特にPPI)や腎機能の問題から、超高齢者に積極使用しづらいという理由もある。ただ、胃酸分泌を強力に抑制し、消化器系症状改善がかなり明確なPPIと異なり、モサプリドはいまいちパッとしない印象もある。

ところで、上部消化器症状を有する患者への「胃薬」は多岐にわたるが、PPI+ムコスタ+セルベックス+ベリチーム、みたいに、ひたすら胃薬(hitasura Igusuri:HI処方)が投与されているケースもあり、現実的にはポリファーマチックな胃薬使用は決して少なくない。対症的薬剤なので、投与の中止提案も難易度が高く悩ましいところではある。

本稿では、なんとなく個人的に良さげなイメージを持っているモサプリドが臨床上、どの程度の有用性を誇るのか、客観的に把握するために近年報告されている論文をレビューしてみる。またHI処方への介入切り口としてPPI+モサプリドの有効性についても検討を加える。

[上部消化管症状に対する“胃薬”の効果]
上部消化管症状(lobal Overall Symptom score:GOSで7点中4点以上)を有する471人を対象として、オメプラゾール、ファモチジン、モサプリド及びテプレノンの有効性を検討したランダム化比較試験が報告されている。
〔BMC Gastroenterol. 2012 May 1;12:42. PMID: 22548767〕

対象となったのは、中等度から重度の上部消化管症状を有する20歳以上の成人で、ピロリ菌陰性、3か月以内に内視鏡検査をしていない人が対象となった。

被験者はオメプラゾール10mg/日群(139人、平均40.9 歳)、ファモチジン20mg/日群( 129人、平均39.4 歳)、モサプリド15mg/日群(118人、平均40.0歳)、テプレノン150mg/日( 68人、平均40.0歳)の4群にランダム化されている。

一次アウトカムは4週の治療後における症状の改善した患者割合で、症状改善はGlobal Overall Symptom scoreで7点中2以下と定義された。

なおこの研究は非盲検試験であり、主観的なアウトカムを評価していることから、その結果の妥当性はかなり低いと言わざるを得ない。投与回数が異なるが故、盲検化が難しいのはわかるが、せめて、ダブルダミーのように、プラセボを組み合わせた二重盲検試験で検討すべきであった。とても興味深い臨床課題の研究なので、残念であるところ。

結果を見ておこう。一次アウトカムの割合はオメプラゾールで27.8%、ファモチジンで9.8%、モサプリドで8.0%、テプレノンで6.2%であった。オメプラゾールは他の3剤よりも有意に優れていたという結果。まあこの結果自体は経験的にも大きな矛盾はない印象。やはりPPIの効果は優れているといえるだろう。しかし、モサプリドとH2RAにそれほど大きな差もない印象である。盲検化されていないということを逆手に取れば、プラセボ効果も込みでモサプリドはH2RAに比べて劣るものではない、と言えるかもしれない。

[機能性ディスペプシアに対するモサプリド]

近年、アコチアミドという薬剤が発売され、機能性ディスペプシアの疾患概念が本邦でも定着しつつあるが、その効果について2014年にメタ分析が報告されている。
〔ScientificWorldJournal. 2014;2014:541950. PMID: 25197703〕

もちろん、効果が期待できるという結果だが、別にアコチアミドではなくモサプリドでも良いのではないか、というのが僕の考えではある。

モサプリドと機能性死すペプシアについては2012年にJapan Mosapride Mega-Studyという少し面白い名前のランダム化比較試験が報告されている。
〔J Gastroenterol Hepatol. 2012 Jan;27(1):62-8.〕

この研究は機能性ディスペプシアを有する患者618人を対象にモサプリド(311人)とテプレノン(307人)を比較して、胃内容うっ滞、心窩部痛、健康関連QOLなどが評価された。

その結果、2週間の治療においてモサプリドは胃内容うっ滞、心窩部痛を有意に改善したが、テプレノンは改善傾向に留まった。この研究は群間比較をしていないようなので、何とも難しいところではあるが、少なくともモサプリドで症状の改善が見込めそうなこと、テプレノンよりも効果が高そうなことが分かる。

2015年には機能性ディスペプシアに対するモサプリドの有効性を検討したメタ分析が出ているので見ておこう。
〔J Gastroenterol Hepatol. 2015 Jan;30(1):28-42. PMID: 25041564〕

この解析では13研究のランダム化比較試験が対象となっている。モサプリド1091人、control群として1129人が解析された。その結果、症状ベースのスコア改善率に明確な差が出なかった。相対危険0.999 (95% 信頼区間0.869-1.150) なんと機能性ディスペプシアに対する有効性は示されていない。コントロールがプラセボのみではないことも影響があるかもしれないのだが、個人的には残念な結果。

ちなみにイトプリドではわずかに有効性が示されているようだ。
〔World J Gastroenterol. 2012 Dec 28;18(48):7371-7. PMID: 23326147〕
ガナトン®をお薦めすべきなのだろうか。。。

[PPI+モサプリドと言うような併用にどんな意味があるのか]
HI(Hitasura Igusuri)処方ではPPI+ムコスタとかPPI+モサプリド、のようなコンビネーションが散見されるが臨床的意義はあるのだろうか。

胃食道逆流症におけるPPI+モサプリドの有効性を検討したシステマティックレビュー論文が2013年に報告されている。
〔World J Gastroenterol. 2013 Dec 21;19(47):9111-8. PMID: 24379638〕

このレビューでは7研究587人が組み入れられている。かなり小規模研究のレビューと言うことになろう。

7研究のうち4研究でPPI単独とモサプリド+PPI併用の有効性比較を行っていたが、その効果は微妙だ。メタ分析によれば治療応答の相対危険は〔1.132; 95%信頼区間 0.934-1.372〕PPIに対するモサプリドの上乗せ効果はこの研究では明確に示されていない。

2014年には胃食道逆流症に対するオメプラゾール単独とオメプラゾール+モサプリド併用を比較したランダム化比較試験が報告されているが、逆流関連症状の変化に群間さを認めていない。やはりPPI+モサプリドはPPI単独に比べて優れた薬剤効果を示すというわけではないようだ。
〔J Dig Dis. 2014 Sep;15(9):469-76. PMID: 24957863〕

[結局のところモサプリド]
消化器症状に対する何らかの効果はあるかもしれないが、機能性ディスペプシアに対する効果はあまり明確ではない。テプレノンよりはマシ、くらいなものかもしれない。ただ胃食道逆流に対するPPI+モサプリドと言うのはもはや「謎処方」でしかないことがわかった。

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2. CLINICAL EVIDENCE SYNOPSES
-注目論文の紹介です-

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[重要文献]リラグルチドは効果があるのか RCT PMID: 27295427

Marso SP.et.al. Liraglutide and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2016 Jun 13. [Epub ahead of print] PMID: 27295427
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27295427

[背景]2型糖尿患者における標準ケアにリラグルチド(GLP-1作動薬)を上乗せした際の心血管疾患に対する有効性は不明である。

[方法]本研究は心血管リスクが高い2型糖尿病患者を対象に、リラグルチドとプラセボを比較した2重盲検ランダム化比較試験である。一次アウトカムは心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合アウトカム初発とした。一次仮説は、プラセボに対するリラグルチドの非劣性であり、非劣性マージンは結果のハザード比における95%信頼区間上限で1.3と設定された。

[結果]9340人がランダム割り付けされた。追跡期間は中央値で3.8年であった。一次アウトカムはプラセボに比べて、リラグルチド群で有意に低下した。 リラグルチド:608人/4668人 [13.0%]、プラセボ:694人/4672人 [14.9%]、ハザード比0.87[95%信頼区間95% 0.78 to 0.97]

心血管死亡もリラグルチド群で少なかった。リラグルチド群:219人[4.7%]、プラセボ群 278人 [6.0%] 、ハザード比0.78[95%信頼区間0.66~0.93]

さらに総死亡もリラグルチド群で有意に低下した。リラグルチド群:381人[8.2%])、プラセボ群447人 [9.6%] 、ハザード比0.85[95%信頼区間 0.74~0.97];
非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による入院には明確な差を認めなかった。

主な有害事象は消化器系イベントであった。膵炎は両群で明確な差を認めなかった。

[結論]2型糖尿病患者におけるリラグルチドは心血管死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中の複合アウトカム初発をプラセボよりも低下させる。

[コメント]リラグルチドやりおったなという印象。ちなみに「リキシセナチド」は以前印こけている。Pfeffer MA.et.al. Lixisenatide in Patients with Type 2 Diabetes and Acute Coronary Syndrome. N Engl J Med. 2015 Dec 3;373(23):2247-57. PMID: 26630143
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26630143
http://blog.livedoor.jp/ebm_info/archives/46354990.html)
予想に反して(!?)わりと良い結果が出ているが、まあこれで驚くのは早い。何せThe primary hypothesis was that liraglutide would be noninferior to placeboと言うわけで非劣性試験だからだ。優越性は一次アウトカムではない。この結果でプラセボよりも優れているという主張はあくまで仮説生成にすぎない点に留意しておこう。

まずは対象患者から。
『Patients with type 2 diabetes who had a glycated hemoglobin level of 7.0% or more were eligible…The major inclusion criteria were the following: an age of 50 years or more with at least one cardiovascular coexisting condition…or an age of 60 years or more with at least one cardiovascular risk factor,….』
と言う感じ。50歳以上で心血管疾患を有する糖尿病患者や、60歳以上で心血管リスク因子を有する糖尿病患者でHba1cが7%以上の人が対象。ありがちなハイリスク患者というやつだ。まあ少なくとも新規発症と言う感じじゃないので、この時点で、第一選択としての薬剤効果を検討しているわけではないと考えて良いだろう。(まあ、たとえ効果があるにせよ、最初からお注射なんて僕はいやだな。)

介入、対照は
『patients were randomly assigned, in a 1:1 ratio, to receive either 1.8 mg (or the maximum tolerated dose) of liraglutide or matching placebo once daily as a subcutaneous injection in addition to standard care』
となっていて、既存治療への上乗せとなっている。つまるところやはり第一選択としての効果を検討しているわけではあっりません。プラセボ比較の2重盲検試験なんで、PROBEなんかよりも、それはそれで良いデザインね。

アウトカムは
「The primary composite outcome in the time-to-event analysis was the first occurrence of death from cardiovascular causes, nonfatal (including silent) myocardial infarction, or nonfatal stroke.」てなわけで、抄録に記載の在った通り。非致死的、非致死的、まあ、どんな的?みたいな。

非劣性マージンは
『The primary hypothesis was that liraglutide would be noninferior to placebo with regard to the primary outcome, with a margin of 1.30 for the upper boundary of the 95% confidence interval of the hazard ratio.,』

1.3を超えなければ非劣性よ、というFDA(baka)の一つ覚えみたいな設定。まあしゃーない。ちなみに95%信頼区間法を用いている。非劣性試験は片側検定なので、97.5%信頼区間法を用いた方が良いんじゃね、と思うのがDM関連のRCTはいつもこれだ。これもFDAの基準に乗ってるんか。

結果には有意な差がついているのだが、一次アウトカムはno. of events/100 patient-yで、リラグルチド群3.4、プラセボ群3.9。年間NNTは200人と計算されまっす。総死亡は2.1対2.5なので250人どえす。カプランマイヤーも目が悪いせいかほぼ重なって見えますなー。つまり非劣性は確かだよ、という感じだね。「特別仕様プラセボお注射」、僕はやめておこう。

[文献]ベザフィブラートで死亡が減る?(RCT長期追跡PMID: 26794137)

Arbel Y.et.al. Bezafibrate for the treatment of dyslipidemia in patients with coronary artery disease: 20-year mortality follow-up of the BIP randomized control trial. Cardiovasc Diabetol. 2016 Jan 22;15:11. PMID: 26794137
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26794137

[背景]近年のデータは心血管リスク低減における重要な治療目標として、高TG血症に関する新たな関心を支援している。この研究はベースライントリグリセリドで層別化した患者を対象に行われたBIP試験の長期追跡中における総死亡についての問題に対応するためにデザインされた。

[方法]BIP試験は冠動脈疾患を有する3090人を対象にベザフィブラート400mgとプラセボにランダムに割り付けた研究である。20年にわたり追跡された総死亡データはNational Israeli Population Registryより入手した。高TG血症患者(TG200mg以上 458人)も研究に含まれていた。

[結果]追跡期間中、1869人が死亡した(プラセボ952に、ベザフィブラート917人)ベザフィブラートはわずかに死亡を減らした。(ハザード比0.90[95%信頼区間0.82~0.98]有意に死亡リスクが増加した変数は、心筋梗塞既往、糖尿病、NYHAクラス、年齢、BMI、血糖レベルであった。高TG血症患者ではベザフィブラートを服用していると25%の死亡リスク減少が見られた。(ハザード比0.75[95%信頼区間0.60~0.94]しかし、高TG血症の無い患者ではフィブラートの投与と死亡に明確な関連性を認めなかった。

[結論]ベザフィブラートを投与された患者の長期追跡では、わずかではあるものの有意な死亡リスク減少(10%)が見られた。この効果は、高TG血症を有する人でより高かった(25%リスク減少)

[コメント]この研究でもってベザトールええ感じやねん、とするのは早いぜ。そもそもフィブラートはあんまし(まったく)効果がない。TGが高ければ確かに心血管リスクが高い。そんならスタチンつかえや、と言いたくなるのをこらえて、まあこの研究を見ていこう。

そもそもビップ試験ってなんだ。と言う話だが、
『The BIP trial evaluated the effect of bezafibrate versus placebo on major coronary events and mortality in CHD patients.』である。ベザフィブラートの二次予防効果を検討した研究だが、BIP試験ではそもそも一次アウトカム(The primary end point was fatal or nonfatal myocardial infarction or sudden death)に明確な差が出ていない。The frequency of the primary end point was 13. 6% on bezafibrate versus 15.0% on placebo (P=0.26).そんな研究を長期追跡してみた、つーわけだ。ちなみにこのビップ試験(どこらへんがビップ?)、高TG血症患者(も含まれてるけど)ではなく、冠動脈疾患を有する患者が対象となっている。

この研究はBIP試験の参加者コホートを使って、総死亡に影響を与える変数を検討したものであり、ベザフィブラートの効果を検証したものではない。解析の中で、たまたまベザフィブラートを投与された患者で死亡リスクが低かったということが示唆されているにすぎない、と考えた方が無難だ。これまでRCTやそのメタ分析で有効性が示されていない背景を踏まえれば、この研究だけでフィブラートに効果があると解釈するのは大きな誤りだろう。

[文献]エンパグリフロジンで腎イベントは抑制できるか。(RCT二次解析PMID: 27299675)

Wanner C.et.al. Empagliflozin and Progression of Kidney Disease in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2016 Jun 14. [Epub ahead of print] PMID: 27299675
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27299675

[背景]糖尿病は心血管有害事象リスクや腎イベントを増加させる。EMPA-REG OUTCOME trialにおいて、エンパグリフロジン(SGLT-2阻害薬)は心血管イベントハイリスク2型糖尿病患者における主要心血管イベント(MACE)を抑制した。この研究における事前に計画された二次解析で、エンパグリフロジンの腎臓への影響を検討する。

[方法]e-GFRが少なくとも30以上の2型糖尿病患者をエンパグリフロジン(10㎎もしくは25㎎)とプラセボにランダムに割り付けた。あらかじめ計画された腎アウトカムは、腎症(微量アルブミン尿への進行、血清クレアチニン値の倍増、腎代替療法の開始、腎疾患による死亡)の悪化もしくは発症、およびアルブミン尿発症であった。

[結果]腎症悪化はエンパグリフロジンで525人/4124 人(12.7%)、プラセボ群で388 人/2061人 (18.8%)、ハザード比0.61[95%信頼区間0.53~0.70]血清クレアチニン値倍化はエンパグリフロジン群 70 人/ 4645人 (1.5%) 、プラセボ群 60人/2323人 (2.6%) で相対危険は 44%.有意に低下した。腎代替療法開始は、エンパグリフロジン群で13人/ 4687人(0.3%) 、プラセボ群で14人/ 2333 人(0.6%) と相対危険で 55% 低下した。アルブミン尿に明確な差はなかった。

[結論]心血管疾患ハイリスクの2型糖尿病患者において、エンパグリフロジンは腎臓病の進展を抑制し、腎イベントリスクを低下させた。

[コメント]EMPA-REG OUTCOME trialについてはこちらを。
http://syuichiao.blogspot.jp/2015/09/empa-reg-outcome.html
SGLT-2で腎イベントが抑制できるかもという研究。なかなか興味深い。二次解析なので、何とも言えないが、ちょっとSGLT-2には期待してる。個人的にはメトホルミン→SGLT-2というセカンドラインでの推奨。ただ薬価高いなぁ。


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3. EDITORIAL NOTE
-編集後記-

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梅雨の湿気と暑さでばて気味です。
最近勉強しているのが「価値に基づく医療」ですが、なかなかに難しい。

臨床判断における「正義」というのはもはや哲学的問題なので、こっちの得意分野だわと思いきや、VBPは日本語文献が少なく、英語で挫折しそう。

功利主義やカントの道徳論などはおそらくとても参考になるし、まあてっとり早くサンデルの本で整理しておくと良いかもしれない。価値の承認と言うのは分かり合うということではなく、コンセンサスが取れない中で、つまり分かり合えない中で、どこに到達点を設定するかと言う問題は、やはり構造構成主義的な考え方に近いのだろう。

EBMとVBPを対比することも多いのだが、僕はその対比は根本的に間違っていると思う。EBMはステップ3、つまりエビデンスを批判的に吟味することの方法論は見事に体系化されていたが、ステップ4については明確な方法論が示されていなかった。VBPはつまるところEBMのステップ4の体系化に他ならないと感じている。

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