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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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スレッド
自分を愛していないとか
そんな話ではない

僕が僕でいない僕を
可哀想に思い始めたのさ

ひとの輝きばかりに眩しくなり
世間という椅子に座り
拍手を送ることばかり上手になり
自分からは何も光を放つことなく
足元さえ真っ暗で
どこに居るのかも分からず
誰かが生きる僕になっている

光放つ者から勇気をもらっても
僕のいつかきっとは
いつかきっとのまま
始まりもせず終わりもせず

それならどうなりたいの僕?

まずはそこから始めよう
考えることが僕になるから
思うことが僕になるから

もっともっと僕を探す
誰にでも引けるスタートライン
勇気なんていらない
踏み出した足音を響かせるだけさ

僕が僕へ近づいている

#詩

ワオ!と言っているユーザー

#蝸涎詩

スレッド
361°のview
カランと氷が沈む勇気
見つめる未来に
ぷかぷか浮かび出す強さ
テーブルに涙の蝸涎
引き摺り進むリアルの光

#詩

ワオ!と言っているユーザー

スクロール

スレッド
おいおい通り過ぎているよ
あんたが探している俺は
もう画面から消えているぞ
てかっ
俺のこと探しいていねえよなっ
ああ
こりゃすでに俺のひとりごと
やはり死んじまった奴のブログなんて
スルーされてすでに埃の山だな
あとどれくらい魂がインターネット上で
彷徨えるのだろう

検索でよく俺の一個前に出てくる奴が言っていた

 閲覧されないブログとかを
 クラッシュマンがギザギの刃物を持って
 僕たちの言葉や写真をズタズタにするらしい

 なんでそんなことを知っているんだ
 そんな作り話を俺は信用しない

 間一髪で助かったひとがいて
 クラッシュマンが現れてウオーって時に
 自分のリンク先に飛んできた閲覧者がいて
 ギリギリセーフだったらしいよ
 だからクラッシュマンを見ているのさ

 マジか
 嘘じゃなさそうだ
 そいつはすげえ運が良かったなっ

 このままだと僕たちはいずれ
 クラッシュマンにやられて死ぬんだよね

 ああ
 俺たちは二度死ぬんだな
 二度目は殺されるなんて残酷すぎるぜ

聞きたくない話を聞いてしまったし
その話し相手はすでに消えてしまった

そろそろ俺の順番も近そうだ
後世に残るような名作でも書けたなら
永遠を手に入れられたんだろう
俺のチンケな小説じゃもう時間の問題だ
もっとすげえ作品を書きたかったなあ
別にここで死ぬことが嫌とかじゃなくて
なんかやり切ってなかった悔いが
今ごろになりズブズブと胸を刺してくるぜ
もう一度だけ俺にキーボードを打たせてくれ
そしたら……

だけどしょうがねえよなっ
ずいぶんと怠けて生きてきたのだから


 おおっ
 あちゃ来たかクラッシュマンマン

 このクソ野郎が
 最後の最期ぐらいはカッコよく消えてやるぜ
 カモンっ
 待っていたぜクラッシュマン!


………んっ
………なぬっ
俺のブログにお祝いのコメントが入っているぞ
俺も飛んで戻ってきたか

なになに
俺の書いた小説が賞を取ったってか
そんなことありえねえよな
一度死んだ奴に賞って
マジかよ

まあ
また俺はここでしばらく彷徨えるんだな

でもなんかもういいかなって気持ちもするぜ
小説が書けないんじゃただの抜け殻だよ
……もっと真面目にやれば良かった
いやいや俺の性格じゃ
生まれ変わってもあんまりパッとしないかっ

話しがちょっと長くなったが
一度目の人生に怠けると
二度目の人生なんてないようなものだ

そこのあんたもダラダラと生きていると
俺みたいにイケてない人間になるぜ
まあ
大きなお世話だなこれりゃ

#詩

ワオ!と言っているユーザー

上海の夜

スレッド
赤提灯のぶら下がる
路地を歩く
女たちが手を引き誘う
昨夜見た夢の続きか
書き始めた小説の続きか
揺られ渡った詩人の大陸幻想か

占い師が忠告していた
月に高笑いをする女の気配
私の罪悪感を利用し
強く首を絞め遊び出す
悪くはない
望んでいた夜だ
逃げ場所のないロマン
汚れた美しさ
終わらない夜は続く

騒がしい外へ
右でもなく左でもなく
夜の暴動を遠くから眺める

走って向かってくる女
石を掲げ笑ったまま振り落とす
頭を叩かれ
遠くのネオンがなお歪み
倒れ込む先で
水溜りに流れ出す血液

立ち上がれないのは無念なのか
死んだはずの魂が疼く
生きたい死にたい生きたい死にたい

ポケットから
水溜りへ落ちたビスケット
ボロを着た子どもらに
分け与える為の償いたちが
泣くように赤く染み込んでいく

街頭の下
占い師が忠告していた子どもらは
水溜りの赤いビスケットを拾い
何事もなかったように頬張り
倒れた私の身体を踏みつけ走り出す

覚めそうもない覚めたくもない
夜はまだ始まったばかりだ

#詩

ワオ!と言っているユーザー

背後占い『字念屋』「鷲」

スレッド
事前にインターネットでのご依頼を
ありがとうございました
真田康生さん、二十歳、学生さん
リモートによる占いになってしまいますが
背後に浮かぶ中核文字を読みとっていきます

それにしても
真田さんの背景画像が南国の海で開放感がありますね
バーチャルと分かっていてもいいものですね

はい
ではカメラから少し離れてください
モニター越しの占いは慣れていませんので
普段より中核文字を読み取るのに時間がかかりますが
しっかりと占っていきますのでお許しください
それでは目を閉じてリラックスしてください

・・・・・・はい
ありがとうございました
目をお開けください
真田さんの中核文字が見えましたよ
「鷲」です
その中核文字の他には念字がなく
雲ひとつない空で
とても優雅に広く高く飛んでいるようです
そんな自由を感じられる中核文字
真田さんの鷲は翼である部分が非常に大きく立派です
そして、普段は自由に気持ちよく飛んでいますが
ここぞという時には急降下して
獲物を見事に獲える才能があります
鋭い目、鋭い爪、鋭い嘴で
ダイナミックに仕事を熟すタイプ
逞しい力を十分に発揮できます

そうでしたかその反面
ひととのコミュケーションが苦手なのですね
たしかに群れをつくり何かを獲得する
その辺は苦手分野かもしれません
しかし、鷲は意外と大きな耳穴を持ち聴力も優れています
真田さんはひとの話の真意を聞き取れます
またしっかり話を聞く姿勢に
ひとから信頼も得ることができるでしょう
発せられる言葉からの思いを汲み取り
アドバイスのできる中核文字をお持ちですから
お得意のフィールドでじっくりと話を聞いてください
そんなところから始めてみたらいいでしょう

はい
鷲の中核文字をお持ちの方は
自分より大きな相手だろうと向かって行く
そんな強さがありますから
真田さんの将来はとても楽しみですね
大きなことを成し遂げることのできる「鷲」です

いえいえ
私は見えている念字について説明しているだけです
このような占いしかできませんよ

こちらこそリモートによる背後占いで
ご不自由をお掛けしました

そうですね
新型コロナが落ち着いた頃にこちらへご来店ください
楽しみにお待ちしていますね
この度は字念屋リモートへありがとうございました

#字念屋 #詩

ワオ!と言っているユーザー

朝の心象

スレッド
電車に乗り込み寒さは凌げた
すぐにホームボタンで指紋認証
部屋が片付かないように
デバイス上の書類項目も
煩雑に散らばって

ふと見る車窓からの薄暗い空
雲もまだ眠っている
寝ているものを眺めては
揺られ向かう先へを繰り返す
弱気な心

車内には
自分自身を見つめる人びと
一人一人がひとりに包まれる
細胞壁の中で
心模様はまだ薄い色で塗る
早朝のスケッチ

第三波と混み出してくる車内
身体を硬直させ力ませて
今日という一日に
小さな願いを込めながら

新宿駅で乗客が降りると
ラインがひとつ届く
年老いた母の「元気ですよ」を
知らせるいつもの挨拶

 おはようございます
 コロナには気をつけてくださいね
 健康が一番ですから

薄赤く染められた雲が動き始め
溶け始める壁を感じ
「俺も元気だよ」を
伝える挨拶に少し照れながら

#詩

ワオ!と言っているユーザー

電子書籍Kindle 言葉採集 齋藤純二 

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ワオ!と言っているユーザー

秋のコンバート

スレッド
アナログの枯れ散る寂しさを
美しさとして綴れたのなら
辛い思いはすべて
うわの空に消えるだろう

貧弱な言葉が
デバイスの中でグルグルと
迷いながら今を探して
同じ回路ばかり走り
摩耗して疲れた心は
青を失い茶に穴があく

それでもまだ見えている
惜しみなくの光に憧れ
キーボードを叩く無音に
焦りは眠り
世界が変わり始める

馬鹿のひとつ覚え

その天性ってのを信じてみたい
土になるその時まで

アナログの枯れ散る寂しさを
美しさとして綴れたのなら
辛い思いはすべて
うわの空に消えるだろう

#詩

ワオ!と言っているユーザー

渾身

スレッド
詩集へ私を叩きつけ
砕け刺さってやる

もう風に空に光に頼らず
ひとつのモノになって

言葉で無いくらい
意味など無いくらい
人間で無いくらい
生きた証も無いくらい

バラバラになってしまう
惜しみは微塵もない
覚悟は既に出来ている

私が今
詩集に落下している

#詩

ワオ!と言っているユーザー

ぼくとかれはさん

スレッド
いたい いたい

ぼくがあるくと
かれはさんはいう

ごめんね ごめんね

ぼくがとまっていうと
かれはさんは
おこってしゃべらない

かれはさんを
ふまないように

よいしょ よいしょ

じゃんぷしてあるくと
かれはさんは
さらさらとんで
ぼくのくつを
すりすりしたんだ
#詩

ワオ!と言っているユーザー

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