脊椎は穴だらけ オモチャもそこに 入っているし さすがに三度の手術 もういいでしょう でも病室には もっと先輩がいて お前さんの脊椎なんて まだまだ、と ほらっ 歩けるだけましだ 俺の身体を 見ればわかるだろ お前は幸せなやつだ ああ先輩 リハビリ呼ばれてますよ 痛いの嫌なんだよ ごめん隠れる …………先輩 頑張りましょうよ
ねえ わたし 詩んでもいい ああ いんじゃねえ えっ そこは だめだよ って 止めるとこでしょ そうかあ そうは思わないから 俺も詩んでいるし うそっ それっ やばいじゃん ジャンル的に… おねがい そんなこと やめて あっ お前は俺に 詩んでもいい って訊いたよな でも… そうね わたしも詩のう
ほかの言葉を探したけれど 見つからない さざ波を眺め揺れる髪を とどめる指はしなやかに弧を描き 僕が彼女のそばに居ることが 信じられないほど自分が見窄らしいと 思っているのはたぶんその通り 夢ばかりみている僕は 現実の中では君を守れていないし 喜ばすことさえ上手にできていない でも君は美しく 何も言わずに手を握ってくれる 僕は内緒の涙を流しているけど 君は気づかない振りをしてくれる 夕陽がひろがり僕たちにたどり着き 君の微笑みに触れてみたら 頬は赤みをますほどに愛らしくて ふたたびさざ波へ視線をかえす 君は……