あっ、雨が降って来た 子どものようにわくわく バスの窓から外を眺める 曝されているすべてのモノが濡れてゆく ひとも道も車も自動販売機も そこにとっても平等を感じてしまう そんな僕は バスの中で雨模様を眺めている まさに特別待遇だ ああ、このまま知らない街へ そう願いながら 近づいているものを遠ざけながら
「十分ほど遅れています」 とのアナウンスで一斉に動き出すひとびと 電車の乗り換え 隣を走る違う線のホームに急ぐ 十分が待てない朝 なんてセコセコした時間の費やし方だ しかし、今日も花粉が飛んでいる 「シュッワッチ、シュッワッチ」と ウルトラマンが車内に数名いる 私も休日から気持ちは変身し切れていないが ウルトラマンになっている 「ネクスト ステーション イズ シンジュク ターミナル」 鼻声の自動アナウンス、あんたもウルトラマンか さあ、また乗り換えだ あらら、こっちの電車も遅れている けっきょく今朝はズルズルな出勤にイライラ 連鎖反応、よくあることだ どっかのサラリーマンが独り言で ブーブーと愚痴をこぼす 気持ちはわかるが静かにしてくれ 朝はなるべく滑るように時間が流れ 爽やかに仕事を始めたいと思うが このゆとりの無さにカラダから 針が出ているような苛立ち それでも幸せがここにあった こうやってこの詩を書けているのだから もう、それでいいじゃないか さあ、来たぞ満員電車 iPadを閉じバックに入れよう