ネオンの真ん中 疎らな時刻表の数字 冷たいベンチ 指先、足先から凍る もう痛みなどない 精神が身体の嘆きを消した 今この時 朽ちる全てを許容 終わるものなら 終わってみやがれ だからって 俺は死にたい訳でもない 生にしがみつく訳でもなく 違う次元に入り込んだ そこには超越感 しかし まだ無の一歩手前に座っている この寒さでは 俺を心身ともに 凍らすことはできない やはり時化た屑な時間 とっても残念だ そこまでか、お前の冬の力は ああ、もうバスが来ちまったぜ
正月早々 母は心配ごとばかり語る 心配してもしょうがないことに 心を振り回されて とくに歳をとったからではなく 昔からそうだ そんなことで なんて俺も言えないのだ 心配している自分までも 心配するような 心配遺伝を受け継いでいるのだから でも新年になってわかったこと 俺の心配は続くのに 母の心配ごとには大丈夫だよ そう言えるのだから 俺の心配ごとだって大丈夫なんだ そんな風に開き直れる心配の種から 芽がにょきにょきと出てきたようだ 突然変異の日が昇り 胸を張りながら背を高くする
夢の島を引きずる今日 ひとつ波が過ぎれば東京 海の緑は眩しかった まばらな光 棒グラフのビルに遮られ 心の何処かで平らに憧れている 得体の知れないプレッシャー 社会への弱気を生み出す電車の揺れ 思い出すように何度も繰り返す思考 どうして生きているのだろう どうせ死ぬのに 確かに夢の島では 時間を遮られない声が聞こえていた 僕は長い間 この東京で何を聞いてきたのだろう 眉間から聞こえる声 舌から聞こえる声 音のない声 どうしたらここで 平らな声が聞こえるのだろう どうしたらここで 平らに生きてゆけるのだろう