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9月27日 【コラムVol.11】~俳句~

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9月27日 【コラムVol.1...
● BCA土曜学校のコラムVol.11●

俳 句

  
 ベルビューも、爽秋の気配が感じられる頃となりました。
 BCA土曜学校では、俳句の豊かな表現力に気づき、限られた文字数にこめられた多なものの見方や感じ方を味わってもらうために「俳句」の学習を行っています。

 今日は、基礎国語の皆さんが詠んだ「秋の句」から5句紹介しますね。
それぞれの豊かな感性が伝わってきます。
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 ◇風と雨 冷たくなる朝 秋感じ
 ◇柿の色 雨のかおりに 夕日のお茶
 ◇カリカリと 落ち葉の音が 気持ちよく
 ◇秋の朝 風を感じて ほお赤い
 ◇葉っぱ見る きれいな景色 いい思い出
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 俳句は、今日まで継承されてきた日本の代表的な伝統的言語文化の一つです。
五・七・五の定型は、世界でもっとも短い詩と言われ、世界的にも広く知られています。 同じ五・七・五の音数をもつものに川柳があります。俳句は、季節を大事にし、自然を中心にして詠みますが、それに対して川柳は、世間の人情や風俗に目を向け、滑稽風をねらって詠んだものです。また、季語や切れ字の約束がなく自由です。
〈滑稽→笑いの対象となるおもしろいこと。ばかばかしいこと。〉
〈風刺→社会や人物の欠点・罪悪を遠回しに批判すること。〉
 俳句は、季節の移り変わりに対する感動を詠むので、季語が入っているという特色がるのです。俳句の創作は、日々の生活への意識を高め、自然への眼差しを育み言語感覚鋭くします。また、俳句は、読む人の自由な解釈で補って鑑賞できるよさもあります。
(写真は、イサックアのサーモンハッチリです。)
#コラム

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9月20日 【コラムVol.10】~稲~

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9月20日 【コラムVol.1...
● BCA土曜学校のコラムVol.10●


 
 陰暦と季語についてもう少し加えたいと思います。
9月の陰暦は「長月(ながつき)」です。
 秋も深まり始め、夜がようやく長くなる月の意味の「夜長月」を略した言葉と言われいます。だいぶ日が短くなってきましたが、昼夜の長さが等しくなる9月23の秋分の日を過ぎぎるとさらに夜の時間が長くなっていくのでその様子を表しているという説です。
 また、稲の成長の様子を表したものとして「稲刈月(いねかりづき)」「稲熟月(いあがりづき)」が変化して「ねかづき」、そして「長月」となったという説があります。この場合の「長」という漢字の意味には、毎年稲が長くすくすくと実るようにという願いが込められているそうです。
 秋の季語に「稲」のついた季語が多いのも頷けます。
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稲刈り・稲干す・苅田・稲雀・稲妻・稲穂・稲掛(いねかけ)・稲扱(いねこき)・ 籾・豊年・ 凶作・ 新藁・ 藁塚・ 俵編・稲筵・稲葉・粳稲・糯稲・もちごめ・田の実・ の秋・稲の波・稲の秀・稲の雨・稲の風・八束穂・稲の香 等々
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 ◇里人は稲に歌よむ都かな     芭蕉 
 ◇稲の雨斑鳩寺にまうでけり    正岡子規 
 ◇一里行けば一里吹くなり稲の風  夏目漱石 

 国語の教科書には「四季のことば」「季節のしおり」と題して四季を感じさせる素敵ことばが載っています。是非、秋のページを開いてみてください。

 清水校長先生が日本の「稲作」について、
「21世紀型学習に向けてチーム学習が大切になっている中、先人が稲作を通して培っ『和の心』が日本人の精神の根幹にある。」とお話して下さいました。
写真は、そのきっかけとなった田んぼアートです。
#コラム

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9月13日 【コラムVol.9】~季語~

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9月13日 【コラムVol.9...

● BCA土曜学校のコラムVol.9●


                 
季 語
     

 2学期がスタートしました。国語3は、俳句の学習からスタートです。
前回のコラムは「七夕」でしたので、今回は俳句の「季語」について触れたいと思います。
 
 季節を表すことばを「季語」と言います。俳句には季語を入れるのが作法です。
 季語が、春、夏、秋、冬、どの季節に属するのかは約束によって決まっています。
では、「七夕」「天の川」は、どの季節の季語でしょうか?
答えは、秋です。
 えっ、夏なのではと思った人もいるかも知れません。
 
 日本人は昔から季節の変化に敏感であり、それぞれの季節の中で何かを感じたり連想したりする優れた感覚を持っていると言われています。
季語は季節特有の風物を表す語です。 俳句は季節感の文学ともいわれ、俳句を味わうには何よりも季節をとらえることが大事です。
 季語は昔使われていた旧暦(太陰暦、陰暦)をもとに分類されています。現在採用されている新暦(太陽暦、陽暦)は、地球が太陽の周りを一周する時間、365日を一年とするものですが、旧暦は月の満ち欠けによって日を決め、満月の日を十五日とした昔の暦です。
 前回、文月(ふみづき)を紹介しました。今回は、全ての陰暦を下に記しますね。

知っている月はあるでしょうか?
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 1月 睦月(むつき)、2月 如月(きさらぎ)、3月 弥生(やよい)
 4月 卯月(うづき)、5月 皐月(さつき)、6月水無月(みなづき)
 7月 文月(ふみつき)、8月 葉月(はづき)、9月 長月(ながづき)
 10月 神無月(かんなづき)、11月 霜月(しもつき)、12月は師走(しわす)
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 1月、2月、3月は春。4月、5月、6月は夏。7月、8月、9月は秋。10月、11月、12月は冬です。
ですから、7月7日の「七夕」や「天の川」は秋なのです。

#コラム

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7月5日【コラムVol.8】~七夕~

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7月5日【コラムVol.8】~...

● BCA土曜学校のコラムVol.8●


                 
七夕
            

 7月に入りました。7月は、陰暦で文月(ふみづき)といいます。
文月の由来はさまざまありますが、7月7日の七夕に短冊に文字を書いて笹につけることから、
文章や文字の上達を祈ったという説が有力だと言われています。
七夕と言えば「織姫と彦星」のお話ですね。これは、中国で作られた物語です。
七夕そのものが奈良時代に中国から伝わったもので、元々日本にはない文化でした。
 お話の内容を簡単に記します。

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 天の神様の娘である織姫は、美しいはたを織る自慢の娘でした。神様は、毎日身なりも気にせずに働く娘を
不憫(ふびん)に思って婿を探すことにしました。そして、一生懸命牛の世話をする彦星に出会い、この真面目な若者なら娘を幸せにしてくれるに違いないと思って娘の結婚相手に決めました。
 めだたく結婚した二人は毎日仲よく暮らしましたが、今までのように働かず遊んで暮らすようになり、神様が働くように言っても聞き入れません。怒った神様は、織姫と彦星を、天の川で東西に引き離し二人はお互いの姿を見ることもできなくなりました。それから二人は悲しみにくれ働こうともしなかったので、困った神様は、毎日真面目に働くなら、七月七日だけは会わせることを約束すると、年に一度会うために二人は一生懸命働くようになったのです。天の川を二人が渡る橋は、たくさんの鵲(かささぎ)が翼を広げて作ります。

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 ロマンティックでステキな物語ですね。
日本では昔から年中行事を大事にしてきました。日本の文化を継承することは、子どもの感性や価値観に
いい影響を与えることをわかっているからです。

 皆さんのお家では、どんな七夕を過ごすのでしょうか。
「たなばたものがたり」「たなばたプールびらき」「きつねのたなばたさま」など、七夕に関連した心あたたまる絵本がたくさんあります。お母さんに読んでもらい、七夕について語り合うのもいいですね。
 織姫は「こと座のベガ」、彦星は「わし座のアルタイル」です。
中高生は、星座の本や宇宙の本を開いてみるのもいいと思います。
#コラム

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6月28日【コラムVol.7】~歩~

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6月28日【コラムVol.7】...

● BCA土曜学校のコラムVol.7 ●


                 

            

 「歩」は、前進、進展、発展などの前向きな意味を持つ漢字です。
 「歩く」は、足を交互に使って前に進むという具体的な動作を表わし、「歩む」は、物事が進行・進展するという抽象的な意味で用いられます。
 漢字の成り立ちは、上部の「止」と下部の「少」がそれぞれ足あとを示し、両足で前に進むことを表しています。加えて、「止める」と「少ない」にも分けられることから「少し止まってもいいんだよ。」という含みもあります。自分のペースでゆったりと、かつ力強く成長する。そんなイメージが持てる漢字ですね。
 「歩」のつく二字熟語は、「一歩」「二歩」「徒歩」「歩行」「進歩」「独歩」「歩幅」「歩度」「競歩」「散歩」をはじめたくさんあります。「譲歩」「歩調」などの熟語をみると、人に対する心遣いや、仲間と手を取り合って前に進むという意味も感じられます。
 
清水校長先生は、「歩」という漢字から
  ○恐れずに一歩を踏み出す。 
  ○一歩一歩が己の道を拓く。
というイメージを持たれているそうです。
 
 土曜学校の皆さんにも、自分の「歩」の意味を見つけてどんな困難も恐れることなく力強く歩んで欲しいと思います。
 
 7月8日と9日に行われる「ジャパンフェア」では、書家宇佐美志都先生の文字「歩」が刻まれたオーナメントが記念品として作成されました。インフォメーションコーコーナーで是非ご覧下さい。  
               
#コラム

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6月21日【コラムVol.6】~雄大~

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6月21日【コラムVol.6】...

● BCA土曜学校のコラムVol.6 ●


                 
雄 大
            
          
 「雄大」を辞書で引くと、「規模が大きくて、思わずすばらしいと感心させられる様子。」(三省堂新明解国語辞典より引用)と書いてあります。この言葉の意味は、十分理解できているつもりでいました。
 先日、日本初の国産ジェット旅客機MRJとワイナリーの見学ツアーに参加させていただき、モーゼスレイクに行ってきました。モーゼスレイクは、ベルビューから東におよそ300キロの地点に位置する農業を主要産業とする街でした。
 美しいモーゼスレイク湖、コロンビア盆地に広がる広大な農地やブドウ畑、その先にそびえるカスケード山脈。モーゼスレイクまでの休憩場所で見た、大きな風車がずっと並んでいる光景、車窓から見える地平線、目に映る風景全てが雄大な眺めです。真っ青な空の下に広がる大陸。「雄大」というのはこういう風景なのだということをアメリカ大陸が教えてくれたように思いました。「雄大」の本当の意味が、自分の中にすとんと落ちた日でした。
 そういえば、軽い気持ちで使っていた「かわいい」という言葉の意味が本当にわかったのは、我が子を授かった時でした。借字の「可愛い」という表記も頷けます。
 言葉は、体験を通してはじめて本当の意味がわかり、心に響く言葉として自分自身の中に積み上がっていくものです。アメリカで暮らしている子ども達にも、言葉と自分の体験をつなげて、日本語が持つ意味と感性が一つになる瞬間を体験してほしいと思います。
#コラム

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6月13日【コラムVol.5】~漢字~

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6月13日【コラムVol.5】...

● BCA土曜学校のコラムVol.5 ●


                 
漢 字


 基礎国語と国語1で「漢字の組み立てと部首」の学習をしました。漢字の「形」に着目しながら漢字の持つ「意味」を意識する学習です。漢字は、字形・字音・字義の体系を成して組み立てられていることを知ると、文化を伝えてきた漢字の役割にも興味を持つことができます。漢字は面白いと思ってもらえたら、漢字を覚えることにも意欲が持てるのではないかと考えています。
 漢字を組み立てている部分は、へん・つくり・かんむり・あし・たれ・にょう・かまえに分類されます。二つ以上の漢字が組み合わさるとき、それぞれの漢字は一つの漢字を構成する要素として、左右や上下に位置づきます。部首は、漢字の意味を表す部分で、漢字の意味を考えると見えてきます。例えば「神」「祈」の部首は「しめすへん」ですが、視野・視力などに使われる「視」の部首は「みる」です。
 火と火で「炎」、 木と木で「林」、さらに木があると「森」、人は動いて「働く」、 重くても力で「動かす」、田んぼで力を出すのは「男」、辛くてもあと一本で「幸せ」、人の言うことを「信じる」、 心に耳をあてれば「恥」、 犬は口で「吠える」、 身を美しくするのが「躾(しつけ)」、鳥が口で「鳴く」、 木の上に立っても見守るのが「親」、お日さまと月で「明るい」、お日さまと青空で「晴れ」、お日さまの後に生まれる「星」このような語源もおもしろいです。
 BCA土曜学校は、6月10日で一学期が終わり夏休みに入りました。どの学年も漢字と読書の宿題が出ていますので、先週の「読書」に続いて「漢字」についてふれました。
#コラム

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6月7日【コラムVol.4】~読書~

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6月7日【コラムVol.4】~...
● BCA土曜学校のコラムVol.4 ●

読書


 心も知識も豊かにし、生涯学習の基礎を培う読書はどの国でも推奨されていますが、現地校のBCAを見学して、ここの子ども達は日本の子ども達に比べて本が好きなように思えます。短い時間でも集中して本を読む習慣ができているのは何故か、日本と何が違うのか知りたくて図書館の先生に聞いてみました。
すると、幼稚園からどのクラスも週1回30分の図書室の時間があり、小さい子には絵本の読み聞かせ、2・3年生には本の章ごとの読み聞かせ、4・5年生には本の紹介などを行っているとのことでした。その他、学級では担任の先生が読書指導を行い、家庭でのリーディングも指導しているのだそうです。一生の財産となる読書習慣を身につけさせるために、学校が年間計画に読書の時間を位置づけ、司書の先生・担任・そして家庭が連携して行うそのシステム、なるほどと思いました。
 先月BCAで行われた「ブックフェア」も新鮮でした。子ども達は、担任の先生と本を見に来て、放課後お迎えにいらした保護者と楽しそうに買い物をする。学校で保護者と本を購入するアメリカのブックフェアも日本にはないシステムです。学校と家庭が共同で子どもに本を与える素晴らしいイベントだと思いました。
 活字を抵抗なく読める力はどの学習にもつながる大事な力です。全ての学習ベースとなる読む力・情報を収集する力は、英語・日本語に関わらず、どの子にも身につけて欲しい力です。
#コラム

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5月31日【コラム Vol.3】~桜~

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5月31日【コラム Vol.3...
● BCA土曜学校コラム Vol.3 ●


 
 国語2の授業で、清少納言「枕草子」の書き出しとして広く知られている第一段「春はあけぼの」を学習しました。具体的な自然の光景は、今の私達も思い浮かべることが可能な景色です。その「枕草子」の形を借りて、自然や身の回りのものごとを見つめて自分が捉えた季節感を表現してもらったところ、感性の豊かさが感じられる素敵な作品が仕上がりとても嬉しく読みました。
 春の段に「桜」と表現した人が多く、BCAにも咲いていた美しいピンクの桜を思い出しました。桜は日本文化になじみの深い植物で古くから人々に愛されていますが、海を越えてここベルビューにも咲いていることへの感動も蘇ってきました。
私は「桜」を見ると、いつも大岡信の「言葉の力」思い出します。
 桜は樹木全体で美しいピンクをつくり出すという染色家のエピソードを用い、表現される言葉は桜の花びら一枚一枚のようなもので、その背後にはその言葉を発している人間が存在し、全身でその言葉を発しているという主張が述べられている文章です。
言葉を学ぶことの意味や、言葉の使い手である自分を振りかえらせてくれる内容であり、これからの言葉との向き合い方について考えさせられるのです。
 
 興味のある方はどうぞお読みください。
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「言葉の力」大岡信


 人はよく美しい言葉、正しい言葉について語る。しかし、私たちが用いる言葉のどれをとってみても、単独にそれだけで美しいと決まっている言葉、正しいと決まっている言葉はない。ある人があるとき発した言葉がどんなに美しかったとしても、別の人がそれを用いたとき同じように美しいとはかぎらない。それは、言葉というものの本質が、口先だけのもの、語彙だけのものではなくて、それを発している人間全体の世界をいやおうなしに背負ってしまうところにあるからである。人間全体がささやかな言葉の一つ一つに反映してしまうからである。

 京都の嵯峨に住む染織家志村ふくみさんの仕事場で話していたおり、志村さんがなんとも美しい桜色に染まった糸で織った着物を見せてくれた。そのピンクは、淡いようでいて、しかも燃えるような強さを内に秘め、はなやかでしかも深く落ち着いている色だった。その美しさは目と心を吸い込むように感じられた。
「この色は何から取り出したんですか。」
「桜からです。」
と志村さんは答えた。素人の気安さで、私はすぐに桜の花びらを煮詰めて色を取り出したものだろうと思った。実際はこれは桜の皮から取り出した色なのだった。あの黒っぽいごつごつした桜の皮からこの美しいピンクの色がとれるのだという。志村さんは続けてこう教えてくれた。この桜色は、一年中どの季節でもとれるわけではない。桜の花が咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな、上気したような、えもいわれぬ色が取り出せるのだ、と。
 私はその話を聞いて、体が一瞬揺らぐような不思議な感じに襲われた。春先、もうまもなく花となって咲き出でようとしている桜の木が、花びらだけでなく、木全体で懸命になって最上のピンクの色になろうとしている姿が、私の脳裏に揺らめいたからである。花びらのピンクは、幹のピンクであり、樹皮のピンクであり、樹液のピンクであった。桜は全身で春のピンクに色づいていて、花びらはいわばそれらのピンクが、ほんの尖端だけ姿を出したものにすぎなかった。
 考えてみればこれはまさにそのとおりで、木全体の一刻も休むことない活動の精髄が、春という時節に桜の花びらという一つの現象になるにすぎないのだった。しかしわれわれの限られた視野の中では、桜の花びらに現れ出たピンクしか見えない。たまたま志村さんのような人がそれを樹木全身の色として見せてくれると、はっと驚く。

 このようにみてくれば、これは言葉の世界での出来事と同じことではないかという気がする。言葉の一語一語は、桜の花びら一枚一枚だといっていい。一見したところぜんぜん別の色をしているが、しかしほんとうは全身でその花びらの色を生み出している大きな幹、それを、その一語一語の花びらが背後に背負っているのである。そういうことを念頭におきながら、言葉というものを考える必要があるのではなかろうか。そういう態度をもって言葉の中で生きていこうとするとき、一語一語のささやかな言葉の、ささやかさそのものの大きな意味が実感されてくるのではなかろうか。美しい言葉、正しい言葉というものも、そのときはじめて私たちの身近なものになるだろう。(光村図書国語2より引用)
#コラム

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5月24日【コラムVol.2】~一期一会~

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5月24日【コラムVol.2】...
● BCA土曜学校コラムVol.2 ●
           

一期一会

 「茶道」に関連した言葉に「一期一会」という四字熟語があります。辞書には、「全ての客を、一生に一度しか出会わない者として、悔いのないようにもてなせという教え。」(三省堂新明解国語辞典より引用)と書いてあります。これは、千利休が説いた茶の湯の心得にあると言われています。同じく茶人の井伊直弼は、「茶会はその日一度のこと。二度と同じ時も戻ることできないのだから心を尽くさなければならない。」と述べており、いろいろな解釈ができる言葉として現在に伝わっています。
 一生に一度しかない出会いを大切にすること。出会いは二度とないという気持ちで誠意を尽くすこと。出会いに感謝し、相手を思いやること。今、このひとときを大事に生きること。人との出会いだけでなく、物・ことをも大事にすること。日々共に生活する家族や仲間との時間を大事にすること、今の精一杯が未来につながること、等など。自分に合わせて考えられる言葉であり、日本語の奥の深さを感じさせる言葉だと思います。
 
 土曜学校の茶道の授業は、今週から2回目の授業に入ります。清水校長先生の好きな言葉「一期一会」を自分なりに感じてもらいたいです。
#コラム

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