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神戸:ファルコンの散歩メモ

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今年の読書(73)『もう、聞こえない』誉田哲也(幻冬舎文庫)

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今年の読書(73)『もう、聞こ...
本書『もう、聞こえない』は、2020年8月に単行本として刊行され、2023年10月5日に文庫本として発売されています。

なんとも不思議な構成の『もう、聞こえない』でした。全体的には、殺人事件を中心とする〈警察小説〉なのですが、背景となる二人の女性の〈シスターフッド小説〉や、〈言霊〉としての幽霊が事件解決に導く〈ゴースト小説〉の要素もあり、展開が読めない物語でした。

部屋に押し入った男を正当防衛で殺害、傷害致死容疑で逮捕された週刊誌の記者「中西雪実」でしたが、罪を認め高井戸署の事情聴取に応じるも、こわもての刑事の前では、動機や被害者との関係については多くを語りません。警視庁捜査一課の「武脇刑事」が担当となりますが、突然「声が、聞こえるんです」と言い始めます。一向にわからぬ被害男性の身元でした。

そこに浮上したのが、14年前の「足立美波」の未解決殺人事件でした。ふたつの事件を繫げるのは、「中西雪実」に取りつく〈言霊〉としてこの世に残る幽霊の「足立美波」の未解決事件を追い求めて記者になった幼馴染の「寺田真由」でした。

14年前の殺人事件を追い求める「真由」は「美波」を殺した男に殺害され、自分のあとが待ちして配属された「中西雪実」と協力して、「美波」の無念を晴らそうとします。 

骨太の純粋の警察小説ではありませんが、それなりに楽しめた一冊でした。
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今年の読書(72)『レインメーカー』真山仁(幻冬舎文庫)

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今年の読書(72)『レインメー...
アルツハイマー病を扱った『神域』に続く医療問題を扱った本書『レインメーカー』は、2021年10月に単行本として刊行され、2023年10月5日に文庫本として発売されています。

タイトルの《レインメーカー》は文中にも説明が出てきていますが、米国において「訴訟で大儲けをする弁護士」のことを意味しています。

IT企業を経営している父「野々村喬一」と大学教授の母「結子」の保育園に通う一人息子の「喬太」は、高熱で病院に運ばれましたが、救急小児科医師の懸命の救急治療も及ばず亡くなってしまいます。悲嘆に暮れる「喬一」の県会議員の祖父は、政治的ライバルである病院を、医療過誤だと医療訴訟に強い「日向法律事務所」を使い病院を提訴します。そこで病院から弁護の依頼を受けたのが、先代の「日向法律事務所」から独立した敏腕弁護士「雨守誠」でした。

救えなかったら医師が悪いのか。「法律は悲しみを癒す道具じゃない」との信念に基づいて、「雨守」は医療現場の矛盾や不条理に斬り込んでいきます。

脇役として新聞記者「四宮智子」や、「雨守」の新人所員「多岐だ早苗」などの見せ場がもっとあってもと感じながら、最後は尻すぼみな結末で、「法廷サスペンス」という割には少し落胆しましたが、医療訴訟、小児の医療問題としての子育ての家庭環境、病院のM&A問題等を考えさせられる一冊でした。
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今年の読書(71)『棘の街』堂場瞬一(角川文庫)

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今年の読書(71)『棘の街』堂...
本書『棘の街』は、2004年3月に 幻冬舎より刊行され、  2009年10月 に幻冬舎文庫としてすでに発売されていますが、2023年9月25日に、角川文庫として発売されています。

「刑事・鳴沢了」シリーズ〈全10巻+番外編『七つの証言 刑事・鳴沢了外伝』、 第4作目からは文庫書き下ろしで刊行〉が3冊ほど刊行されている時期での骨太の刑事物です。

地方都市・北嶺で起きた17歳の高校生誘拐事件。県警捜査一課の39歳の敏腕刑事「上條元」は、事件の捜査中、身代金受け渡しの場所の公園で重大なミスを起こしてしまいます。結果、被害者は戻らず犯人を挙げることができずに、事件は未解決のままでした。

事件発生から1年後、被害者の白骨遺体の発見を機に、北嶺署の捜査本部に異動、本部の捜査方針は無視して再び一人で事件を追い始めた「上條」は、実家の近くで、暴行を受けていたある一人の少年を助けます。彼との出会いをきっかけに、事件は思わぬ方向に動き始めるのでした。

「上条」が生まれ育った町「北嶺」を舞台に、誘拐された少年の母親との過去の関係、同級生との関係、自分の父と、別れた子供との親子関係が、複雑に重なり合い物語は進み、意外な結末で締めくくられる541ページでした。
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今年の読書(71)『宿罪 二係捜査1』本城雅人(角川文庫)

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今年の読書(71)『宿罪 二係...
新聞広告での〈3カ月連続刊行〉の見出しに惹かれ、手にしました<本城雅人>の『宿罪 二係捜査1』で、文庫本書下ろしとして2023年9月25日に発売されています。

15年前、17歳の「清里千尋」が突如失踪しました。不良少女だった彼女の人生の夢を見つけ応援していた町田署の「水谷早苗巡査」は病に倒れ、帰らぬ人となりました。失踪事件当時、「水谷」と同僚だった「香田警部」は、彼女の葬儀に際し、「遺体なき殺人事件」を専任とする警視庁〈二係〉の「信楽京介」に、再捜査の協力を願い出るのでした。

「香田警部」は、「水谷」が「千尋」の発見ができなかった無念さを弔うためにも、癌で入院中の義父である元相模原南署の「菊池和雄」の協力の下、「信楽」の部下「森内洸」と協力して捜査を再開します。

その頃、中央新聞の警視庁担当の39歳独身の「藤瀬祐里」は、「信楽」が秘密裏に追う事件に迫ろうとしていました。刑事と記者のそれぞれの想いと信念が、空白の15年を再び動かすとき、事件の真相が浮かび上がります。

遺体無き殺人事件を捜査する〈二係〉の、調書から読み取る情報と足で稼ぐ情報という非効率の捜査の中に、真実を見いだしていく刑事の本能ともいえる執念がち密に描かれた一冊でした。若手刑事の「森内」の成長と、「中央新聞の女酒場放浪記」と呼ばれる酒好きの「藤瀬」の今後が気になる「二係捜査2」に引き込まれる、シリーズの幕開けでした。
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今年の読書(69)『薔薇色に染まる頃』吉永南央(文春文庫)

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今年の読書(69)『薔薇色に染...
『萩を揺らす雨』で始まりました「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズも2022年10月に刊行されました本書『薔薇色に染まる頃』で10作目になり、2023年9月10日に文庫本が発売されています。

生活食器としての焼き物販売を併設しています珈琲屋「小蔵屋」を営む「杉浦草」を主人公として、紅雲町内で起こる過程的な事件や人間関係を舞台に、「お草」の活躍を描くミステリーということで謎解きのシリーズが始まっていますが、今回ようやく本格的なミステリー仕立ての構成でした。

一度は売ったものの手放したことを後悔していた金細工の帯留めが戻ってきたと、旧知の東京のアンティークショップ「海図」から連絡をもらった「お草」は京都に出向く前に、早速その店に向かいますが、そこで耳にしたのは顔なじみのバーの雇われ店長「ユ-ジン」が殺されたらしいという話でした。

「ユ-ジン」が父親「室橋」にいじめられていた子供の頃からの知っており、生前に彼と約束を交わしていた「お草」はそれを実行に移し、各誌引き出しに隠されていました2千万のげんきんを、sg否定されたところへ届けます。その後、新幹線の品川駅で何者かに追われている様子の母親と少年と隣り合わせます。そして母親から子供を預かってほしいと頼まれた後、母親は駅のホームで刺されてしまいます。「お草」はその少年を預かり京都に向かうことになります。

殺された「ユージン」、生前の約束と怪しげな2千万の現金、ホテルへの不審な男。事件の全貌もわからぬまま少年と逃避行を続ける「お草」は、っ京都に行くのを取りやめ、滋賀県の陶芸家に逃避行の協力を頼むのでした。

「海図」の店主「金源」、元警察官の探偵「辺見」、陶芸家「丹山慶悟」など、いつものレギュラーメンバー以外の個性ある人物たちが登場している、異色の内容でした。11番目となる最新刊『雨だれの標本』が、2023年10月6日に刊行されていますが、文庫本化まで、しばらく辛抱です、
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今年の読書(68)『あの子の殺人計画』天祢 涼(文春文庫)

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今年の読書(68)『あの子の殺...
著者の前作 の本屋大賞2019発掘本にて話題になった『希望が死んだ夜に』では「こどもの貧困」を描き、本作では「ネグレクト・こどもの虐待」をテーマに描いています『あの子の殺人計画』は、2020年5月に単行本が刊行され、2023年9月10日に文庫本として発売されています

「椎名きさら」は小学5年生。母子家庭で窮乏している上に親から家のことは任され〈水責めの刑〉で厳しく躾けられていました。ある時、保健室の「遊馬先生」に腕の痣を見つけられ、また転校生の「翔太」にクラスの女子からのイジメの原因を指摘され、自分が虐待されているのではないかと気づき始めます。

一方、JR川崎駅近くの路上で、大手風俗店のオーナー「遠山菫」が刺し殺されます。神奈川県警本部捜査一課の「真壁巧」は所轄川崎署の捜査員「宝生翔太」と組んで聞き込みに当たり、かつて「遠山」の店で働いていた「椎名綺羅」が浮上してきますが、事件当夜、彼女は娘の「きさら」と一緒に自宅にいたというアリバイがありました。「真壁」は多摩署の生活安全課に所属しながら数々の事件を解決に導いた女性捜査員「仲田蛍」の力を借りて、「椎名母娘」に迫っていきます。

刑事捜査物としてのミステリー仕立てではあるのですが、子供虐待の背景と現実に胸が痛む進行でした。

「真壁」登場の際の山奥の白骨死体発見の何気ない新聞記事の伏線も回収できていますし、美人の容疑者「椎名綺羅」に一目ぼれする所轄の刑事「宝生翔太」の行動などや、担任の「小芝先生」などの複雑な人間関係を巧みに構成している展開は、見事でした。目が離せない「真壁・仲田コンビ」シリーズになりそうです。
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今年の読書(67)『ウナギが故郷に帰るとき』パトリック・スヴェンソン(新潮文庫)

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今年の読書(67)『ウナギが故...
「秋の土用の丑の日」の10月22日に「鰻丼」を、おいしく食べたばかりですが、その<ウナギ>の生態を、スゥーデンのジャナリスト<パトリック・スヴェンソン>が著わした『ウナギが故郷に帰るとき』は、34カ国で翻訳の世界的ベストセラーとして日本では2021年1月に刊行されていますが、2023年8月1日に文庫本が発売されています。

彼らはどこから来てどこへ行くのか。今なお謎に包まれた<ウナギ>の一生を解き明かしつつ、謎に挑んだ科学者、<ウナギ>と生きる漁師、スウェーデンの田舎町で育った著者が幼き日の父との<ウナギ>釣りの思い出を改装しながら、「ウナギの一生」とその謎の解明に乗り出した科学者たちの軌跡を明らかにしていく章が、交互に描かれている18章からなる構成になっています。

日本に関しては、シラスウナギの養殖の失敗談に絡め日本の研究調査は、経済的な投機目的だと手厳しい論が出てきます。

また、《ウナギはなぜ絶滅の危機》にあるのかという大きな命題を提示すると共に、我々に地球上に「生きることの意味」を問いかけています。
#ウナギ #ブログ #文庫本 #読書

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今年の読書(66)『Fashion in Film 映画衣装とファッションデザイナー』クリストファー・ラヴァーティ(ボーンデジタル)

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今年の読書(66)『Fashi...
名作映画の衣装を手がけたデザイナーたちのキャリア・功績を、衣装とファッションを専門とするライター兼コンサルタントの<クリストファー・ラヴァーティ>がデザインスケッチや俳優の着用写真とともに紹介する書籍『Fashion in Film 映画衣装とファッションデザイナー』が、2023年9月18日に発売(4400円)されています。

 同書では『アニー・ホール』で<ダイアン・キートン>が流行らせた〈マスキュリンスタイル〉や、『ティファニーで朝食を』で<オードリー・ヘプバーン>が着た〈リトルブラックドレス〉、『プラダを着た悪魔』で、<アン・ハサウェイ>のために選ばれた<カルバン・クライン>のワンピースなどを取り上げています。

224ページにわたる本書では、『ティファニーで朝食を』などの不朽の名作から、『華麗なるギャツビー』、テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』シリーズ、『グランド・ブダペスト・ホテル』などの映画や『007』シリーズまで、当時のトレンドやカルチャーを楽しめる作品を取り上げ、ゴージャスな衣装を手掛けた有名デザイナーたちのキャリア、バックグラウンド、功績をデザインスケッチや映画スターの着用写真と共にまとめています。

また、デザイナーは、<ココ・シャネル>、<クリスチャン・ディオール>、<イヴ・サン=ローラン>、<ヴィヴィアン・ウエストウッド>、<ジャン=ポール・ゴルチエ>、<ジョルジオ・アルマーニ>ほかが名を連ねています。

ファッションやファッションデザイナーに関心のある方はもちろん、映画ファンにとっても参考になる1冊となっています。
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今年の読書(65)『続 窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子(講談社)

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今年の読書(65)『続 窓ぎわ...
俳優・司会者の<黒柳徹子>(90)が1981年3月に刊行しました自伝的小説『窓ぎわのトットちゃん』の42年ぶりの続編『続 窓ぎわのトットちゃん』(講談社)が、2023年10月3日に刊行されています。
 
『窓ぎわのトットちゃん』は、<黒柳徹子>が子ども時代に出会った、<小林宗作先生>とトモエ学園での思い出をいきいきと描き、ベストセラーになりました。現在までの累計発行部数は日本国内で800万部、全世界で2500万部を超えています。20以上の言語で翻訳もされ、日本だけでなく世界中の人々の心を捉えた一冊でした。

その続編となる『続 窓ぎわのトットちゃん』は、「トット」が青森に疎開してから、音楽学校を卒業してNHKの専属女優になり、ニューヨークに留学するまでの日々がつづられています。

東京大空襲の数日後、青森を目指して、ひとり夜行列車に乗った「トット」を待ち受けていた試練や、疎開先の学校でみんなとなかよくなりたい「トット」が考えついた方法、「咲くはわが身のつとめなり」の言葉を胸に「トット」が通った女学校や音楽学校の思い出、NHKの専属女優になりたての「トット」が救われた一言などのエピソードが描かれています。アルバムから借りてきた写真や<いわさきちひろ>氏の絵もたっぷりと掲載されています。

前作『窓ぎわのトットちゃん』は、初のアニメ映画化として、2023年12月8日から全国東宝系にて公開されます。
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今年の読書(64)『キリング・ヒル』クリス・オフット(新潮文庫)

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今年の読書(64)『キリング・...
著者<クリス・オフット>(1958年生れ、ケンタッキー州ホールドマン育ち)の本邦初役新潮文庫オリジナルとして、2023年8月1日に発売されています『キリング・オフ』です。

ケンタッキー州山間にある田舎町ロックソルトの窪地で43歳の未亡人「ノニー/ベロニカ・ジョンソン」の遺体が、アメリカ人参を採集に来た老人「タッカー」に発見されます。争った形跡はなく性行為前後に死亡したことが判明します。

はじめて事件を担当することになる地元出身の郡保安官「リンダ」は、女性差別の町の権力者の元で捜査を始めることになりますが、別居している妊娠中の妻を訪ねて故郷に休暇を取り帰還中の米陸軍犯罪捜査官である兄「ミック」に捜査協力を依頼します。

しかし、不貞のあげく妊娠した妻との関係に悩む彼は、酒びたりの日々を送っていました。妻との夫婦関係に痛む心に鞭を打ち捜査にあたる「ミック」の前に立ちはだかるのは、一様に口を閉ざす田舎町特有の複雑に入り組んだ人間関係でした。

306ページで28章の構成で、小気味よい文体で物語は進みます。本書は2021年に発表された作品ですが、一時期流行のハードボイルド作品を思わせる硬質な文体で、読者をロックソルトの山間に引きずり込み、入り乱れた複雑な人間関係の意外な事件の結末と「ミック」のその後でした。
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