争うは本意ならねど

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昨年末に発売された、木村元彦氏の新作を購入、一気に読みきってしまいました。
タイトルは争うは本意ならねど

オシム時代の日本代表で結果を出し、現在琉球FCに所属するストライカー我那覇和樹選手。
集英社Webサイトの本書紹介文によると
サッカーを裏切ることは、絶対にしていない!
ドーピングの罪を着せられたJリーグの我那覇選手とドクター。──巨大組織の圧力に立ち上がり、自らの冤罪を晴らした我那覇和樹選手と、組織の枠を越えて彼を支えた人々の、友情と勇気の物語。


『誇り』『悪者見参』『オシムの言葉』の「旧ユーゴサッカー三部作」や、『大分トリニータの15年 社長・溝畑宏の天国の地獄』など、良質なルポルタージュを提供して下さる木村氏の渾身の作です。

医療行為を「にんにく注射」と誤報道され、理不尽なドーピング裁定を受け、出場停止処分となった我那覇選手。適切な対応を不正行為とされた川崎フロンターレ(当時)のチームドクター後藤秀隆医師、彼等の苦悩。
彼等の冤罪を晴らすために奔走したJ31クラブ(当時)のチームドクターや支持者の方々、さらには、重い決断を下し、立ち上がった我那覇選手。

詳細は割愛しますが、マスコミの誤報道を利用し、ドーピングの事実ありきでまともな論議もせず、選手の名誉を著しく傷つける様な裁定を下したJリーグに対する不快感と、真実を求め何千万円と言う私財を投げ打って戦った我那覇選手に尊敬の念を覚える、良作でした。

セレサポとして、我那覇選手と言うと、あの時のアレが思い出され、正直良い気分がしませんけどね。

でも、この時の、いわゆる“我那覇ドーピング冤罪事件”で我那覇選手立ち上がったことが、後に世界中の多くのアスリートを救うことになりました。
この件で、スポーツ仲裁裁判所が下した裁定文は、世界中で読まれ、選手に適切な検査や治療が出来る規定作りに貢献しているとのことです。

惜しむらくは、この本を作成するに当たり、川渕名誉会長と元ドーピングコントロー委員長の青木氏、元Jリーグチェアマン鬼武氏にインタビューを申し込んだ所、受諾したのは鬼武氏のみだったという事。
特に川渕氏、要らん舌禍が多い割りに、肝心な所では口を噤むのは、少々アンフェアですな。
やっぱ、あんまり好きに成れんわ、このヒト。

ま、それを差っ引いても非常に興味深い本です。
本書の表紙折り返しには、先の『社長・溝畑宏の天国の地獄』、今回の『争うは本意ならねど』に、現在構想中の作品を加えて、「Jリーグ三部作」になるとか。
次の作品が楽しみでなりませんね。


争うは本意ならねど(我那覇和樹 公式ブログ)